WBSでは「追跡!令和の3大ニュース」と題して今年の重大ニュースの最前線を伝え、来年2020年がどうなりそうなのか、その行方に迫ります。
まず1つ目は「巨大データ社会 あなたのデータのゆくえ」です。
とにかくデータという言葉をよく聞くようになった1年でしたが、実際のところ私たちの個人データはどのように扱われているのでしょうか?
取材を進めるとその実態が見えてきました。
株式会社Plasma
[blogcard url="https://exograph.plasma.inc/"]
12月24日、東京都内某所。
我々が訪ねたのはシステムエンジニアのAさん(29歳)の自宅です。
家賃8万円ほど、6畳のワンルームマンション。
迎えたクリスマスイブですが、彼女と共に過ごせない特殊な事情が…
家に来たくないと言われた。今カメラで家を撮っていて。
「カメラはどこ?」
そこ。
部屋の隅には小型のカメラが。
その反対側にもありました。
玄関にも。
さらに、
あとお手洗いにも1台。
なんとトイレにまでカメラが設置されていました。
Aさん、一体なんのため?
1ヶ月の私生活を20万円で売る。
実はAさん、1ヵ月20万円の契約で私生活を24時間撮影されるプロジェクトに参加しているのです。
映像はすべてケーブルを通って部屋の隅にあるハードディスクに記録されます。
その映像データは個人を特定できないように処理した上で必要とする企業などに提供されるといいます.
面白そうだなという好奇心と20万円もらえるのはすごい。
全然気にならないので風呂を出てパンツ履くときは気を遣うが、それ以外はカメラはほぼ無いものとして扱っている。
このプロジェクトの名は「EXOGRAPH」。
およそ1,300人の応募があったといいます。
今回の私生活動画収集プロジェクトには女性も参加しているということです。
その女性の家へ。しかし、カメラはここまで。
相内キャスターだけが特別に入ることを許されました。
アパートの玄関入ってすぐにカメラがあります。
このカメラは上からトイレを撮っています。
先程の男性と同様、6畳ワンルームの部屋にカメラが4台ありました。
「カメラのある生活は?」
カメラは確かに気になるが嫌悪感を示すほどのものではなく、自分のアーカイブ(記録)が残れば面白いのではないか。
「お手洗いのカメラは抵抗あった?」
パジャマがワンピースだったり長めだったので気にならなかった。
教育関連の企業に勤めるというBさん。お金に困ってプライバシーを売るわけではないと言います。
「20万円は安いか高いか?」
夜遅く帰るので、その間は撮られないことを差し引けば20万円は妥当ではないか。
遠野宏李さん
24時間、私生活の動画を収集するプロジェクト。
仕掛け人を直撃しました。
私生活動画収集プロジェクトを主催した遠野宏李さん。
1つはデータの活用。
SNSやECサイトでデータの活用が進んでいるが、身の回り、部屋の中などのデータが十分に活用されていない。
活用することで健康など身の回りをよくできる。
遠野氏がこの一風変わったプロジェクトを立ち上げる裏には意外な背景がありました。
京都大学大学院に在籍中の3年前、AI(人工知能)を使うベンチャー企業を立ち上げました。
そこで医療や人体に関する分析を手掛けていましたが、ある壁にぶつかったといいます。
解析するデータがあっても元のデータがないと駄目。
どこの会社もとろうとしなかったデータをリスクを取ってデータをとってみた。
解析するとどんな良いことがあるか。
遠野市は去年、会社を京セラグループに売却。
そこで得た売却益で新たな企業を立ち上げ、人にまつわるデータを取得する側に回ったのです。
動画を見れば人の行動もある種の感情も見られる。
リッチなデータを議論せずに使わないのは社会にとって損失。
正しい使い方をすれば社会の役に立つ。
批判は大歓迎。
そして24時間撮影生活を続ける男性、あのAさんの元に遠野氏がやって来ました。
実は12月24日、クリスマスイブが実験の最終日でした。
4台のカメラを撤収し、パソコン、ハードディスクも10分ほどで回収し終えました。
いつでも参加できる状況のとき参加したいと思う?
金がもらえるなら個人的には参加したい。
今回収集した映像データについては、
最小限の使う部分を被験者と相談して、それ以外はすぐ削除する予定。
「データをどう活用する?」
データ活用の新しい選択肢ができたのは大きな一歩。
株式会社スプラウト
[blogcard url="https://sproutgroup.co.jp/"]
そんな自ら提供する個人データもあれば奪われる個人データも。
サイバーセキュリティーの会社を訪ねました。
日本人のクレジットカード情報。
それがダークウェブというインターネットの闇市場で売買されていました。
「値段は?」
39ドル(約4,300円)。
スプラウトの高野聖玄社長、
それだけ供給側が多いということ。
売られている側からすれば「そんな値段で?」だが。
ダークウェブでは世界中のハッカーやデータのブローカーたちが匿名性の高い通信技術を使って盗んだ個人データなどを売買しています。
大量にデータベースごと抜かれた情報もあるので、安くたくさん売って回転させていくエコシステムができている。
世界中の個人データの中で特に日本人のデータが高く買われるといいます。
その理由は、
クレジットカードの利用額が世界と比較すると金額的に大きい。
この会社が今年9月、ダークウェブで取引される日本人のメールを検知したところ、疑いがあったのが1億6,700万件にも上りました。
その多くが大手企業に勤めるメールでした。
漏えい自体は自分ではどうしようもできない。
「漏れるかもしれない」とパスワードの使いまわしは避ける。
二段階認証があるものはつけて、そこでブロックする。
田中道昭教授
しかし、データが取られているのは何も闇の世界だけではありません。
私たちの個人データを取り巻く環境はどうなっているのか?
データ経済に詳しい立教大学の田中道昭教授に聞きました。
相内さん、どういう情報がスマホの中で蓄えられているのか見てみましょう。
相内キャスターのiPhoneの設定画面からプライバシーの項目をクリック。
その中にある位置情報サービスをクリックしていくと…
一番下の方に「利用頻度の高い場所」があります。そこもクリックして下さい。
おそらく自宅、それから相内さんが最近行った場所が全部出ています。
ちょっともう怖いんですけど。
相内キャスターがいつどこを訪れたのか詳しく出てきました。
位置情報を把握されれば、その人の行動パターンだけでなく趣味嗜好や性別、家族構成まで分析され、知らないところでマーケティングの対象として利用されることがあるといいます。
iPhoneを手掛けるアップルは位置情報について、
正確な所在地データを収集、使用および共有することがあります。
としていますが…
いろいろなデータを集めている会社であれば、そこに位置データを提供したらかなり高いがい然性で相内さんのデータと特定可能な時代となっている。
自分のいち情報はどのアプリに提供しているか納得して、そこまで許容したつもりはないアプリは削除する。
一つ一つの細かいアクションは一人一人でとるべき。