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[WBS]中国"恒大ショック"で当局調査!不動産業界で拡大する懸念[恒大集団]

2021年9月28日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

中国の不動産大手「恒大集団」が経営危機に陥っている問題でグループ企業が販売した金融商品の償還が滞っているとして当局が全面調査に乗り出しました。

この恒大集団をめぐっては9月29日以降に相次いで利払い期日が到来する予定で中国の不動産業界にも混乱が広がりつつあります。

恒大集団

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北京支局の佐藤真人記者。

恒大本社の前です。明日のドル建ての社債の利払い日の前にまだ警察官の物々しい警備が続いています。

33兆円を超す巨額の負債を抱えた恒大集団。ロイター通信によるとグループ会社が販売した金融商品の償還が滞っていることから本社がある深圳市当局が全面調査に着手。

社債の利払いも迫っています。

23日に期日を迎えたおよそ93億円分のドル建て社債は未払いだったと見られます。

29日は新たに53億円分の利払い期日を迎えます。

さらに年内には総額700億円を超す利払いの期日が相次いで到来。その9割がドル建てで資金を集められるかは不透明です。

市場の不安を抑えようと中央銀行も…

不動産市場の健全な発展を守り、消費者の合法な権益を守る。

中国メディアによると江蘇省や安徽省などの各地域で地方政府が恒大専用の口座を開設。

住宅購入者が恒大に支払った資金などを預かり、恒大が損失の穴埋めに流用しないように監視下に置きました。

さらに…

北京支局の杉原啓佑記者。

こちらの中国不動産業界第4位の融創、恒大集団に続き資金繰り悪化への懸念が高まっています。

販売額で業界4位の融創中国。中国メディアなどが9月27日に傘下の企業が資金面で地方政府に支援を求めたと報じました。

これを受け経営危機に直面しているとの認識が広まりましたが、9月28日に会社側は「支援は要請していない」などと否定。

しかし、中国の不動産業界への懸念はくすぶったままです。

中国の政治・経済に詳しいAIS CAPITALの肖敏捷さん。

中国の不動産セクターから第2、第3の恒大が出てくるかどうか。

地方にいくと名もない不動産デベロッパーがたくさんあるので連鎖的に恒大問題が起きるかどうか。

こういった状況ではマーケットはどうしても疑心暗鬼になるのはやむを得ない。

日本も対岸の火事では済まされないようです。

実は日本の個人投資家にも影響が及ぶ可能性があると専門家は指摘します。

モーニングスターの朝倉智也社長。

神経質に見なければいけないのは恒大集団の債権。

利回りがある程度高く信用リスクが比較的高い債権。

そういったものに投資するファンドに組み入れられている。

すでに一部の資産運用会社は恒大の債権などが組み入れられたファンドとその保有比率を開示。

例えば野村アセットマネジメントのある投資信託には0.02%。

日興アセットマネジメントの一部の投資信託にはおよそ1%が含まれています。

ただ、この程度の保有比率であれば影響はそれほど大きくないようにも思えますが…

100億円のファンドでいうと1%で1億円のインパクトがある。

仮にデフォルト(債務不履行)の場合、1億円がなくなってしまうということ。

それだけの影響にとどまらないというのが私の考え。

そこに貸し付けしている銀行、関連する不動産銘柄、建設資材などそれらを販売している会社に影響が及んでくる。

また、こうしたファンドには同じように信用リスクの高い銘柄が多数組み入れられていることから連鎖的に悪影響を及ぼすといいます。

中国全体のリスクは今回の中国恒大によってさらに大きくクローズアップされたのではないか。

利回りが高いからリスクが低いというのはあり得ない。そこを認識して改めて投資スタンスを見直すきっかけになると思う。

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