巨額の債務を抱えて経営危機に直面している中国の不動産大手「恒大集団」は9月23日にデフォルト(債務不履行)の懸念が高まっていた一部の社債の利払い日を迎えました。
中国各地では投資家向けの説明会が開かれ波乱も起きています。
緊迫する会場内の様子を捉えた映像を独自に入手しました。
恒大集団
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このまま抗議が続けば会社の信用はなくなる。株価はまた下がる。
怒りの声をあげる人たち。担当者を囲んで抗議を続けます。
集まっていたのは恒大集団が発行した高い利回りの金融商品を購入した個人投資家たちです。
9月には契約した2つの投資資金が満期になる。
多くはないが十数万元(170万円以上)入れた。
「いくら投資した?」
90万元(約1,530万円)投入した。80万元は12月に、残りは来年1月に満期。
返済してくれると望んでいるが可能性がない。
その2時間ほど前、上海市内にある恒大集団には説明会が開かれることを聞きつけた数十人が集まっていました。ところが何時から始まるかについてはっきり示されておらず、なかには5時間以上待った人もいました。
海上には警察官の姿も。疲れた様子の投資家をなだめています。
今、会社にいくら聞いてもお金がない。
しびれを切らした投資家たちが事務所に乗り込もうとしたところ、ようやく始まるという知らせが来たのです。
不動産などの現物で投資した資金を返還する可能性について深圳の本社から来たという担当者は…
午前中に恒大地産(不動産部門)に資産リストはまだ整理中と確認がとれた。
9月30日まで待ってほしい。
明確な説明は今月末に先送り。その一方で…
皆さんに言いたいのは投資の初心を忘れないでほしい。
今は恒大の困難な時期で確かに資金・現金の困難がある。
でも経営者は屈服して逃げているわけではなく努力している。
投資は自己責任であることを暗にほのめかし、理解を求めました。
これに対し、投資家からは…
みんな苦労して稼いだ金をあなたたちの商品に投じた。
そうだそうだ。
本当に解決する気があるなら誠意を見せてほしい。
そして恒大集団の本社前でも債権者らによる抗議デモに備えた警察車両がずらりと並んでいました。
9月22日深夜、恒大集団の創業者、許家印主席は…
工事や販売を全力で再開し回復させる。
事業継続に務めるように社員らを激励したと報じられます。
人民元建て社債の利払いを23日に実行すると9月23日に発表したことで債務不履行への懸念が後退。
香港株式市場で恒大集団の株価が一時、前の営業日に比べて32.2%高くなりました。
ただ不安はまだ続いています。
杉原啓佑記者。
恒大集団は現在、所有するサッカーチームのための新たなスタジアムを建設中です。完成すれば世界最大級のサッカー場となります。
プロサッカーチーム「広州FC」の本拠地となる予定のスタジアムでは総工費およそ2,000億円。世界最大規模で10万人が収容できるといいます。
さらにスタジアムの隣にはマンションも建設中。周辺一帯の開発を進めていますが現場を見ると工事が進んでいる様子がありません。
一部中国メディアによるとこの開発プロジェクトは国有企業にすでに売却されたと報じられています。
マンションのモデルルームを訪ねると恒大集団の従業員は…
プロジェクト売却の話はうわさにすぎない。
恒大集団はまだ何も正式に発表していない。ここはまだ恒大集団が運営している。
私たちは恒大集団がこの経営危機を乗り越えられると信じている。
マンションの販売に何の影響もありません。
予断を許さない恒大集団をめぐる問題。今後どうなっていくのでしょうか。
「デフォルトや倒産なども想定すべき?」
中国の政治・経済に詳しいAISキャピタルの肖敏捷さん。
恒大集団は大きすぎてつぶせないかもしれないが毎日中国では中型・小型の不動産会社が倒産や閉鎖している。
来週29日には4,750万ドル、およそ51億円の利払い日を迎え、さらに来月も次々に利払い日を迎えますが…
金融機関のサポート、新規融資・返済猶予がなければ恒大集団も自力ではこれだけの規模は難しい。
一方で国際的な信用のためにも習近平国家主席は今回の問題に真剣に向き合うのではといいます。
不動産は過去30年間、中国経済を支えてきたと同時にさまざまなバブルを生み出しながら誰も本気でつぶせなかった。
あえて習政権はパンドラの箱をあけた。
3期目の任期を狙っている中で国民の目に見えるような成果を出したい。