9月21日の日経平均株価の終値は先週末から660円下落し、2週間ぶりに大台の3万円を下回りました。
背景には中国の不動産大手「中国恒大集団」が巨額の債務を抱え経営危機に直面していることがあります。
9月23日には一部の利息の支払い期日を迎えるため警戒感が高まっています。
その恒大集団のトップが9月21日に「必ず抜け出すことができる」とのメッセージを出し、危機を乗り切る意欲を示しました。

恒大集団
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恒大集団の許家印主席。
極めて暗い時だが必ず抜け出すことができると信じている。

経営危機に直面する恒大集団の経営トップ、許家印氏が9月21日に従業員向けに出したメッセージです。前向きなメッセージですが事態の深刻さを物語っています。
8月末、テレビ東京のカメラは北京郊外にある恒大集団のモデルルームで異変の予兆を撮影していました。

北京支局の佐藤真人記者。
中国の大手不動産会社「恒大集団」のモデルルームに来ています。噴水があったりする巨大なモデルルームです。

この部屋は100平方メートルの広さに3LDKの間取りで値段はおよそ4,400万円。

2023年に引き渡される予定のこちらのマンション。およそ12万平方メートルの土地に1,820戸を建設する計画で敷地内には幼稚園や老人ホームもできる予定です。

しかしこのマンションが…
恒大集団のマンション販売員。
この地域では1平方メートルあたりで46万~48万円が相場だが恒大集団は40万円程度に値引き販売していた。

完成前の物件を値引き指定販売していました。
実は恒大集団はおよそ33兆円の負債を抱えるなど資金繰りが厳しくなっていて値引きしてでも販売し、現金を確保しようとしていたのです。

過去20年、不動産バブルの波に乗り、中国の経済成長の一翼を担っていた恒大集団。

金融機関から積極的に資金を借り入れて物件を開発・販売することで急成長を遂げました。

恒大集団を一代で今の地位まで押し上げた創業者の許家印氏。

今年7月に開かれた中国共産党創立100周年記念式典にも招待されるなど中国政府との関係も近いとされていました。

しかし、恒大集団が窮地に立たされた背景には習近平国家主席の存在が…
格差解消を意味する「共同富裕」を掲げ、大企業の引き締めに着手したのです。

中国では発展と共に都市部に引っ越す人が増えたことで都心の不動産価格が急騰。

この抑制を図るべく中国政府が不動産業界への融資を引き締めたことで恒大集団の借り入れに依存した戦略が岐路に立たされているのです。

この影響は日本のマーケットにも。
伊大知明宏記者。
中国を発端とする懸念にマーケットではリスク回避性が強まっています。9月21日の日経平均株価は660円値下がりしました。


なかでも下落が目立ったのが中国とのビジネス上のつながりが深い銘柄です。
海外事業の売上高の5割を中国事業が占めているTOTOは6%下落。

中国からの受注の多いコマツや日立建機、安川電機なども軒並み下落しました。
20日のニューヨーク株式市場でもダウは一時1,000ドル近く下落。

マーケットでは中国の不動産市場の混乱が世界中に波及するとの懸念が広がっています。

23日には社債の利払い期日が迫っている恒大集団。デフォルト(債務不履行)の懸念も強まっていますが…
対外経済貿易大学の西村友作教授。
中国では過去に政府が企業や金融機関を救済したことで最後は政府が助けてくれるという考えが広がった。

これを中国では"暗黙の保証"と言われている。

中国政府も非常に問題視している。

したがって無条件での政府の支援はないと思われる。

短期的にはデフォルト(債務不履行)は十分に考えられる。

国内でも公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が恒大集団へ100億円近く投資していたことが分かっていてその行方が注目されています。
