江島さとや
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長崎県・佐世保から船で約2時間、見えてきたのが本土と五島列島の間にある離島、江島です。
島で暮らす人はわずか124人。
近海で獲れる伊勢海老が名物です。
浜辺で聞こえるのは波の音だけ。都会では味わうことのできないゆったりとした時間が流れます。
2016年12月、この島に移住してきた福田智美さん(55歳)。
2017年3月、福田さんがオープンさせたのが、
こちらが「江島さとや」です。
古民家を改装した民泊「江島さとや」です。
母屋は昔の暮らしそのままのつくり。
一方、離れにあるゲストハウスは趣向を凝らしました。アンティークの箪笥や古い旅行カバンでクラシックな雰囲気を醸し出し、お客様をもてなします。
まだまだ島にはきれいな浜がある。
実はこの島、福田さんの父親の故郷。幼い頃、夏休みを過ごした思い出の島です。
大阪生まれの福田さんは13年前に夫と離婚、医療事務やパートの仕事をしながら女手一つで二人の子供を育て上げました。
そんな中、両親が相次いで他界。
江島に墓参りに来ることがきっかけで島に移住することを決めました。
いつも買えるたびに「帰って来たね」と言ってくれた人たちがいなくなる。この島が自分の「宝島」「夢の島」のような思いがあって、ここをなくしたくない。
離島の民泊に挑む福田さんのこだわりは「都会にはないおもてない」。
行かなくては分からない島の魅力とは?
民泊
長崎県の離島、江島に移住し女手一つで民泊を営む福田智美さん。
自らの貯金を切り崩し準備に2年かけて民泊を始めました。
2017年9月、江島に観光客がやって来ました。
久しぶり。
高木由美さんと津守利一さんの2人は福田さんの友人。会うのは1年ぶりです。
和歌山から。智美ちゃんが民泊やると聞いてから「江島」を知った。
早速、宿に案内します。
広い。
田舎のおうちだからね、だだっ広いというか。
古民家というかね、憧れます。
福田さん、一息ついたところで2人を連れ出しました。
向かったのは、福田さん自慢の羊の牧場です。
島の人から荒れた土地を借り、半年かけて雑草を刈り取り自ら開墾。そこに羊を買い入れ、観光客がエサやりなどを体験できる場所にしました。
昼食はピザを生地作りから体験できます。
四角くなっている、丸く丸く。
ピザを焼くのは本格的な窯。これも福田さんの手作りです。
島でのんびりしながらピザが焼き上がります。
庭の畑で作ったバジルを乗せれば完成です。
美味しい。バジルがいい。
宿泊代は1泊2食付きで7,500円(石窯ピザ焼き体験1,000円)。
民泊のオープンから半年で56人のお客様をもてなした福田さん。島にもっとお客様を呼びたいと考えていました。
年中通してここに来て楽しめるような「島づくり」も考えないとと思っている。
島の問題
島も大きな問題に直面しています。
あと10年もすれば島はなくなるんじゃないか。
仕事もないし。
人間がほとんどいない。年寄りがもうボロボロ死んでいる。
かつて島には1,300人ほどが暮らしていました。しかし過疎化が進み、人口は10分の1以下の124人に激減。
65歳以上の高齢化率は60%を超え近い将来無人島になると囁かれています。
島にはすでにその兆候が…
ジュラシックパークみたいな。草も何回も切っているけど雨が降って倒れてくる。
整備が追いつかず道路がジャングル化。
さらに、
これが吉田の浜。よく貝殻を拾いに来たりしていた。
キレイに見える海も砂浜には漂着ゴミが…人手が足りず片付けることが出来ないのです。
父の故郷の島が廃れていく。なんとか打つ手はないのか…
小値賀島
2017年11月、福田さんが動きました。
江島から船で1時間、見えてきたのは五島列島の北部に位置する小値賀島。
島づくりのヒントを探しに来たのです。
小値賀島は観光の島として毎年、何万人も訪れる島で、何か発見があるかなと。
小値賀島は年間約5万人ものお客様がやって来るいま注目の観光スポット。
島の観光を取りまとめる担当者、おぢかアイランドツーリズムの前田敏幸理事長に案内してもらいます。
まず向かったのは島の最北端。
海の色がすごくきれい。
ここが「長崎鼻」放牧場で。
この放牧場が観光客の人気を集めているといいます。よく見るとあちこちで写真を撮る人が。
東京から来ました。フェイスブックに載せたら癒しになる。
こういったロケーションが島ならではの風景として絵になる。
青い海に映える黒い牛。この光景が評判となり観光客を呼び込んでいたのです。
そして船着き場では、今度は船に乗り込みます。
カワハギが網にかかっているので外します。
カワハギを取るんですか?
水揚げしたカワハギの網を外す福田さん。この島では観光客が漁業体験をすることができるのです。
ハマりそうです。
観光客が体験し、漁師の人手不足も解消できる一石二鳥のアイデアです。
夜は漁師の家に民泊。宇戸さん夫妻はともに70代、この島では漁師も観光業を支える一員だといいます。
夕食は宇戸さん自慢の田舎料理。
「甚助の宿」は1泊2食漁業体験付きで8,000円。
すると福田さんから相談が、
まず、何もなくて。とにかく自分でやらないといけない。
でも1人では無理ですよね。今1人で頑張っているけれども、軌道に乗れば乗るほどスタッフがいないと。
1人で島づくりに奮闘してきた福田さん、何かヒントは得られたのでしょうか?
江島に戻った福田さんにアイデアを聞いてみると、
島を丸ごと体験できるようなものを作っていこうと。
お客様に島を丸ごと体験してもらう…何が始まるのか?
学生の誘致
2017年12月。長崎の江島に観光客を呼び込みたい福田さん、やって来たのは本土の佐世保市。
長崎県立大学を訪ねました。地域活性化の研究に力を入れています。
ぜひ若い人に来てもらって。
江島にも学生を送ってもらえないか頼みに来たのです。
長崎県立大学の地域連携センター、中島洋さん、
江島は1回も行ったことがない。
島の活性化とか一緒にやれないかなと。
大学とタッグを組めれば島の知名度も上がります。
学生には問いかけてみたい。
別の大学、長崎国際大学にも足を運びます。
学生に直接、江島を売り込みました。
若い人の発信力はすごい力を持っている。島へ若い人にどんどん来てもらって発信してもらう。
福田さんの狙いは実を結ぶのでしょうか?
島を丸ごと体験
1月中旬、江島。
この日、長崎県立大学の呼びかけに応じた6人の女子大学生がやってきました。
小さい島と聞いたので見て回ってみて、どんな島か知りたい。
今回は2泊3日の旅。
部屋に入ると、
あれいいよね、ストーブ。インスタ映え。おばあちゃん家のやつ。
最近はなくない?こういう部屋も。懐かしさを感じる。
2日目、福田さん、あの羊牧場に学生を案内しました。
あれ!
すごい!
そこにあったのは福田さんが作った見晴台。早速、登ってもらいます。
目にしたのは江島の美しい風景。
キレイ。
すると福田さんが、
じゃあ、見えているところ全部。
一体何をさせるつもりなんでしょうか?
島づくり体験型観光
長崎県の江島で民泊を営む福田さん。
観光客を呼ぶ新たな手立てを考えていました。
じゃあ、見えているところ全部、塗ってもらって。
始まったのは見晴台の仕上げ作業。木が痛まないように防腐剤を塗ってもらいます。
なかなかする機会がないから。
土台を固める作業まで。
結構難しい。まだまだですね。
これが福田さんが考えている島づくりの体験型観光。
観光客に楽しみながら島づくりに参加してもらうというアイデアです。
島はキレイになる。そして観光客は都会でできないことができる。両方がメリットがある。
島に愛着が生まれ、リピーターになる人もいるかもしれません。そんな期待も込められています。
記念撮影は情報発信にも。
インスタに載せると思います。
これだけではありません。
すごいね広い。
海岸では学生たちが写真を撮っていますが、また福田さんから、
ここの浜を頑張って30分くらい真剣にやりましょう。
今度は海岸でゴミ拾い。この作業では嬉しい発見も、
チョココロネ。
小さい頃、福田さんも拾っていた貝殻。
ゴミだらけの海岸が、わずか30分で見違えるほどキレイに。これには学生も、
自分の努力が一つの島でかたちになる。すごく感動した。
疲れた体を癒やすのは江島でとれた新鮮な海の幸。
脂のってる。すごくおいしい。
そして最終日、
寂しくなるね。
すごく楽しかった。もっといたかった。
普段できない体験もできた、もう一回休みとかを利用して来たい。
島づくりを観光に、福田さん手応えを感じています。
いろいろな体験ができて、お客様の要望に合わせたものが作れるような、「作られた島」ではなく、みんなが作っていける島になればいい。
日本の離島から夢が広がります。
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