身近な経済事件を追跡取材する新コーナー「追跡ケーザイ事件簿」です。
初回となる今回はインターネット上で被害が相次ぐ投資トラブルについてです。
被害が少額で泣き寝入りする投資家も多いこうしたトラブルですが、被害者を救おうと始まった新たなサービスを取材しました。
株式会社スカイキャピタル
[blogcard url="https://m-credit.jp/"]
「いくら投資した?」
800万円くらい。
うたい文句が「元本割れ0件」。老後の蓄えから800万円を持って来た。
都内に住む50代の男性、Aさん。
2年前、年率最大14.5%の高い金利をうたい、毎月利息が支払われるという金融商品に投資しました。
当初は利息が振り込まれましたが、およそ半年後に突如ストップ。
800万円のうち100万円ほどは手元に戻ったものの、残りはいまだに回収できていないといいます。
電話にも出ない。完全にこの会社はおかしいと。
Aさんが投資していたのは「みんなのクレジット」という金融商品。
ソーシャルレンディングという仕組みを使って多額の資金を集めていました。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとはインターネットを通じて多くの人から小口の資金を集め、新規事業を手掛ける企業などに融資するもの。
しかし、みんなのクレジットは集めた45億円もの資金を親会社や関係会社に貸し付け、グループの資金として使っていたと見られます。
取材班がみんなのクレジットの運営会社を訪ねてみると…
担当責任者が不在。
「いつもはいるのか?」
いたり、いなかったり。
人が一新したので分からない。
その後、この会社はメールでの問い合わせに対し、
グループ会社の事業資金として貸し付けることも出資金の運用のあり方の1つであると認識していた。
などと回答しています。
800万円を投じたAさんは運営会社と連絡がつかなくなり、泣き寝入りするしかないと考えていたといいます。
どの弁護士にお願いすればいいか分からない。
どういった手続きを踏めばいいのかわからない。
しかし、あるウェブサービスを知ったことで被害を訴えようと思い直しました。
集団訴訟をマネジメントする「enjin」というサイト。
enjin(エンジン)
[blogcard url="https://enjin-classaction.com/"]
5月に立ち上げられたenjin(エンジン)。
同様の被害を訴える人が一定数集まると弁護士を紹介してくれるサービスです。
弁護士から登録料を得るためサイトの利用料は無料となっています。
株式会社クラスアクション
[blogcard url="https://legal-classaction.com/"]
このエンジンを運営するのが東京のベンチャー企業、クラスアクション。
自身も弁護士である伊澤文平社長のある苦い経験が立ち上げのきっかけとなりました。
訴えられないと泣き寝入りした被害者とたくさん会ってきた。
1人では弁護士費用が負担できなくても、みんなで弁護士をシェアするという発想。
エンジンで弁護士を紹介されたAさんはおよそ80人と共に年内にも損害賠償を求める裁判に踏み切る予定です。
通常、裁判の費用は被害額の10%ほどとされますが、今回の裁判では3分の1に抑えられるといいます。
さらに弁護士の平均所得は10年前に比べ4割以上減少していますが、眠れる被害を掘り起こすことで弁護士の所得アップにもつなげる狙いです。
被害者も救われると同時に弁護士の収入源となるメリットがenjinにある。