いま世界各地を襲っているのが大規模な「干ばつ」です。中国やメキシコ、東アフリカ諸国のほか、ヨーロッパでは60%以上の地域が干ばつの危険にさらされていてEU(ヨーロッパ連合)によると過去500年で最悪の水不足です。イギリスでは24日か、家庭でのホースの使用が禁止されるなど市民の生活にも影響が出始めています。
イギリス 干ばつで「ホース禁止令」!テムズ川も干上がる 農業は…
イギリス・ロンドンの住宅地。
ロンドン支局
中村航記者

ロンドンといえば雨のイメージがありますが、まとまった雨が降るのは久しぶりです。
この夏は雨が少なかったため自宅の庭で現在ホースで水を撒くことが禁止されています。
中村記者のもとにも24日に届いたホース禁止令。通知を見ると庭などへの水やり、水遊び用プールへの水入れ、ホースでの洗車など水を多く使う行為が禁止されています。
違反すると最大16万円ほどの罰金となる可能性があります。
ロンドンの住民

天気に振り回されている乾いた夏だった。
背景にあるのはヨーロッパを襲う干ばつです。イギリスでは初めて40度を超える熱波が襲い、雨も少なかったため水不足に。
ロンドン市内の公園では芝生が枯れ、一面茶色になりました。
また山火事は1年前の3倍に達し、イギリス各地で干ばつ宣言が出されたのです。
ロンドンに水を供給するテムズ川でも状況は深刻です。下流には水があるように見えますが、ロンドンから350キロほど上流へさかのぼると…
ロンドン支局
中村航記者

テムズ川の上流に来ていますが、ここも支流の一つだとみられます。水が流れていた跡はありますが完全に乾いてしまって、水もない状態で土もひび割れてしまっています。
テムズ川の水源、普段なら泉のように水が湧くことがありますが干上がっています。
近くにあるパブで聞くと…
パブを経営
ニコラ・ロードさん

夏でも2~3キロメートル下れば水が湧いている。
しかし今は水が湧くのは16キロ以上先だ。ひどく乾いている。
住民たちもテムズ川のこんな姿は見たことがないと困惑しています。
深刻な水不足は農業にも打撃があります。ジャガイモやタマネギなどの野菜の収穫量は10~50%減るともいわれています。
業界団体のトップは…
イギリス栽培者協会
ジャック・ウォードCEO

状況は日に日に深刻さを増している。
イギリスの主な野菜の生産地では2ヵ月半の間、まともに雨が降っていない。
また、ウォード氏は世界的な気候変動の影響を指摘。干ばつが起きる一方で大雨も降るなど極端で予想できない天気が安定した農業を難しくしているといいます。
そのため、そうしたリスクを避けようと生産を減らす農家も出てくるのではと懸念しています。
イギリス栽培者協会
ジャック・ウォードCEO

この40年「食べ物があるのは当たり前」と間違った安心感を持ってきたと思う。
気候変動の影響の大きさを無視してしまっている。
少なくともイギリスでは立ち止まり考え直す時が来た。