企業の脱炭素の動きも急ピッチで進んでいますが、石油元各社は従来からの石油ビジネスからの脱却を求められています。
今回は業界最大手のENEOSを取材してきましたが、石油に代わる新たなエネルギーの開発を加速させていますが、様々な課題にも直面しています。
ENEOSの戦略をご覧ください。
ENEOS株式会社
[blogcard url="https://www.eneos.co.jp/"]
今日、私は燃料電池車に乗っています。CO2の排出はもちろん無いって車です。
2014年に登場したトヨタのミライ。世界初の量産セダン型の燃料電池自動車です。
水素と酸素を反応させることで発電し、その電機でモーターを動かす仕組みで、車から排出されるのは水だけです。
2020年に発売された新しいモデルでは850キロメートルの走行距離を実現しています。
やって来たのはENEOSの水素ステーション「ENEOS 東京高輪ゲートウェイ水素ステーション」です。
水素の充填にかかる時間は3分程度。ガソリン30リットルとほぼ同じです。
ENEOSの水素事業推進部、新妻拓弥さん、
水素1キログラム1,210円。
1キログラムの水素量で約100キロメートル走れる。
水素製造にコストがかかるのでこの価格ではビジネスとしては厳しい。
脱炭素の流れが加速する中で水素ステーション事業を進めていく。
現在、ENEOSは4大都市圏に46ヵ所の水素ステーションを展開中。国内の水素ステーションのおよそ3割にあたります。
関東圏でENEOSの水素の供給を担っているのが水素製造出荷センターです。
LPガスと書かれていますが、石油由来のプロパンガスと水を混ぜることによって、四角い施設で混ぜますが、水素を作り出しているということです。
1日の生産量はトレーラー1台分。
こちらの水素の製造過程ではCO2が排出されてしまう。
水素の製造にはある課題が…
ここでは炭素と水素の化合物であるLPガスと水を化学反応させて水素を取り出していますが、その際にCO2が排出されてしまうのです。
また製造の際に使う電機も太陽光や風力などの再生可能エネルギーではありません。
この課題にどうやって向き合うのか。
ENEOSの未来事業を手掛ける齊藤猛副社長に聞きました。
2040年の長期ビジョンで脱炭素を想定している。
海外で安価な再生可能エネルギーで水素を作り、輸送して販売。
オーストラリアに建設予定の巨大プラント。ここで再生可能エネルギーを使って水から水素を取り出し、2030年に日本への輸送を開始する計画です。
さらに水素とは別の新たなエネルギーの開発にも乗り出していました。
今まで培った石油精製の技術。
弊社が取り組む最重点商材。
一体、どんなエネルギーなんでしょうか。
中央技術研究所は石油や石油製品の研究・開発などを行う施設です。
ENEOS中央技術研究所の梶田琢也さん、
こちらが再エネ合成燃料。
この再エネ合成燃料、石油に近い成分でできているため、これを基にガソリンやジェット燃料を作ることができるといいます。
その原料は…
水素とCO2。
工場の排気ガスや大気から回収したCO2と再生可能エネルギーを由来とする水素。
これをこの筒の中で加熱すると化学反応によって再エネ合成燃料が生み出されるのです。
燃料として使えばCO2は排出されますが、原料がCO2のためカーボンニュートラルを実現できます。
既存の自動車や航空機にそのまま使用できるので大きな期待がかかっています。
しかし、課題も残っています。
原料のCO2フリー水素の値段が再生可能エネルギーを使うので高い。
粗油で1リットルあたり500円~900円。
将来的には現状のガソリンに近い価格に。
石油に変わる新たなエネルギー開発を目指すENEOS。
2022年度までに1,300億円を投じていく計画です。
社会的な課題に対し、どうビジネスで応えていくか。
2040年、2050年、持続可能な会社になるためにきちんとやっていく。