脱炭素に向け、いま新たに注目されているのが水素と二酸化炭素からつくる合成燃料です。9月17日にこの合成燃料の普及を目指す協議会が初めて開かれました。
脱炭素で注目合成燃料
石油そっくり!?その実力は
9月17日に経済産業省で開かれた協議会。自動車業界や航空、そして海運などさまざまな業界が集まりました。
経済産業省
中谷副大臣
カーボンニュートラル時代にふさわしい未来のエネルギーとも言われている。
合成燃料への期待が高まっている。
脱炭素実現に向け、官民一体となって合成燃料の実用化を目指す初会合です。
その合成燃料はどのようなものなのか、研究を進めている企業「エネオス」を訪ねました。
エネオス 中央技術研究所
島田孝司さん
ここで合成の実験をしていて、とれた合成燃料がこれ。
合成燃料、期待されている理由はその原料にあります。使われているのは水素、そして工場や発電所から排出される二酸化炭素です。
大気中に排出されるはずの二酸化炭素でつくる、この燃料に大きな期待が寄せられています。
さらに匂いを嗅いでみると…
田中瞳キャスター
ガソリンが薄まったような感じの匂いがします。
実は水素と二酸化炭素を合成したことで石油とほぼ同じ成分の燃料ができるといいます。
そのため自動車や飛行機でこのまま使えるだけでなく、輸送や販売も従来の設備がそのまま使うことが可能になります。
しかし課題も。発火の危険性がない特別なカメラを借りて製造工程を見せてもらいました。
エネオス 中央技術研究所
島田孝司さん
この中で触媒という反応を促進させる物質が入っている。
合成燃料の製造において触媒の性能を上げることが非常に重要。
現在はまだ効率を高めるための実験段階。大量生産には時間がかかるといいます。
そしてもう一つ、普及の課題となるのが製造コスト。現在は1リットルあたり300~700円程度と試算されています。
技術的な部分のコスト削減には限界があるといいます。
エネオス 中央技術研究所
藤山優一郎所長
コストが高い部分はカーボンニュートラルの価値として認めてもらわなければいけないが、社会全体でどう負担していくか議論が必要。
経産省は合成燃料について2040年までに商用化、2050年までに価格をガソリン以下にすることを目指しています。