回向院
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東京・両国にある回向院。
大相撲の「力塚」で有名ですが、訪れる観光客は力塚を素通り。彼らについて行ってみると何かを削っていました。
観光客は、
お財布に削ったものを入れると金運に恵まれると。
子供が受験なので、ここのご利益をいただけたら。
皆がこぞって削っているこモノは一体?
鼠小僧次郎吉
行列が出来ていたのは鼠小僧次郎吉の墓。本名を中村次良吉といいます。
「ねずみ小僧」は江戸時代の泥棒で金持ちばかりから大金を盗み、庶民にもバラまいたと言われている義賊です。
いつしか墓を削って持っていると金運が良くなるといわれるようになり墓が削られるようになりました。そこで「お前立ち」という削るための墓石が用意されるようになりました。
削られすぎて、もはや墓石の面影はありません。
特に受験を控えたこの時期には戒名の「教覚速善」が教えを速く良く覚えると読めることや、狭い門をするりと通り抜けたなどの理由で合格のご利益を求める人が列を作ります。中には歯ブラシを使ってかき集める人までいます。
「今のお前立ちは何代目?」
回向院の本多将敬副住職によると、
数を数えたことはないが、この15年で8代目、9代目なので、数え切れないくらい多いと思う。
ちなみにねずみ小僧の隣りにあるのが「猫塚」。何やら厳重に守られていますが。
間違えられて削られちゃう。
ニャンともいい迷惑です。
石を削るという独特のお参り方法に合わせ、削った石を入れるためのお守り「開運招福お守り」も販売しています。
庶民信仰として生まれたもの。お寺が意図してやったものとは違う。お参りの仕方よりも、そのあとの笑顔が見たい。
国技館通り商店街
そして今、このねずみ小僧が再び庶民の力になろうとしています。
回向院のある地元商店街「国技館通り商店街」の福田一男会長、ねずみ小僧での集客を狙っています。
観光のお客様に注目してもらいたい。
集客を目指して新しく作った商店街ののぼり。ねずみ小僧のシルエットをあしらっています。
この日は商店街の仲間と作戦会議。早速、力作ののぼりのデザインを披露します。
岩佐浩之事業部長は、
影絵がねずみ小僧に見えない。
実物見たことがないからね。ねずみ小僧の。
もっと分かりやすく、のぼりを作ってもらって。
デザインには改良の余地があるようですが、ねずみ小僧に期待は膨らみます。
国技館の相撲は推さなくても知ってる。やっぱり推すなら、ねうみ小僧はすごくいい。年間を通してコンスタントに両国の街を楽しんでもらえたら。
福田一男会長も商店街で不動産屋を営んでいますが、何故ねずみ小僧に注目したのでしょう?
狭い門も通り抜ける、受験のご利益ありとだんだん賑わってきたので、それに乗っかっちゃおうかなと。やってみる価値はある。
江戸時代の義賊、ねずみ小僧。人々の願いを叶えるため、今日もその身を削っています。