日本とアメリカの製薬会社が共同開発したアルツハイマー病の新薬がアメリカで承認されました。
日本国内では500万人とされる認知症患者の6割以上がこのアルツハイマー病とみられています。今回の新薬は病気の進行を抑えることが期待される世界で初めての薬です。
製薬会社の会見が始まりました。
エーザイ株式会社
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日本時間午後9時、会見に臨んだのはアメリカのバイオ医薬品大手バイオジェン。日本の製薬大手エーザイと共同開発したアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」がアメリカのFDA(食品医薬品局)に承認されたのです。
アルツハイマー病の新薬が承認されるのはアメリカでは18年ぶり。
バイオジェンのミシェル・ヴォナッソスCEO、
早期の患者に対して最大の効果で応えることができる。
2週間で出荷を始められるところまで来ている。
新薬への期待の大きさは株式市場での動きでも表れました。
金子律人記者、
エーザイ株、朝から買い注文が殺到しました。いま午後ですがまだ値が付いていません。
株価は前の日より20%近く値を上げてストップ高の水準で取引を終えました。
大きな注目を集める新薬、これまでの薬と何が違うのでしょうか?
発症する原因は脳の中にアミロイドベータと呼ばれる異常なタンパク質がたまり、神経細胞を壊すことによると考えられています。
今回の新薬はこの異常なタンパク質、アミロイドベータを取り除く薬で、神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行を抑えると期待されています。
これまでの治療薬は認知機能の低下といった症状を一時的に軽くするにとどまっていたため病気の進行自体を抑える新薬に注目が集まっているのです。
この新薬、アメリカの薬価では1年の治療費用はおよそ610万円だということです。
今年1月にアルツハイマー病と診断された夫を自宅で介護している大阪府の松南真佐子さん。
早く治る薬ができるといいねと言っていた。待ちに待っていた薬。
新薬には期待を膨らませつつも複雑な心境を覗かせます。
どれだけの人が、どのように使用し、どういう効果あるか、全く知らない状況。
期待はしますが、すぐに飛びついていいものなのか。
今回の新薬承認の意義についてアルツハイマー病の研究に関する著書を持ち、およそ20年に渡って取材しているジャーナリストの下山進さんはこう話します。
これで一歩前に進んだ。患者の選択肢が増える。
「新薬でアルツハイマー病は治らない病気ではなくなる?」
それは誤解があると思っている。
認知症を発症した人が元のように戻るというものではない。
新薬はあくまで進行を遅らせる薬。そして、効果が確認されたのは軽度の患者で、すでに症状が進んだケースなど全ての症例にあてはまるわけではありません。
また今回のFDAの承認は早期に患者に用いることを優先し、さらなる検証を条件とした特例であることも指摘します。
なぜ承認されたかというとFDAは有効な治療薬や薬がない場合、特例的に承認することがある。
今回は承認するがもう一回治験すること。
認知機能に対する効果を証明することが条件。
今後、追加の治験で十分な効果が確認できなかった場合は承認を取り消す場合もあるとFDAは説明しています。
日本では去年12月に承認申請されていて現在審査中です。
加藤官房長官、
本剤がわが国でも実用化されれば認知症施策推進大綱が掲げる共生と予防の推進にも資するものと期待。