
この時期は来年3月期決算の企業の中間決算が佳境を迎えています。円安などを追い風に好決算が相次いでいますが、世界経済の減速を背景に番組が実施したアンケートでは来年の景気については慎重な見方をしている企業が多いことが分かりました。
円安で好決算の企業!
給料 ボーナスアップも今後は…
経済班キャップ
小野鉄太郎記者

明日の決算を前に今日も270社以上が中間決算を行っています。
11月10日、多くの企業が中間決算を発表。決算の内容は…
富士フイルムホールディングス
後藤禎一社長

利益は過去最高ということで上期は15年ぶりの過去最高。
富士フイルムホールディングスは今年4-9月の営業利益が過去最高を更新。円安の影響や医療機器などの販売が好調だったといいます。
来年3月までの通期の純利益を情報修正しました。
情報修正したのはマツダも。円安などの影響で来年3月まで純利益を従来予想の800億円から1,300億円に。
バンダイナムコホールディングスもおもちゃや家庭用ゲームが海外以外でも好調で通期の純利益は最高益を見込んでいます。
円安などを追い風に大企業で好決算が相次ぐ中、街では…
会社経営者

今年は過去最高の昇給をした。
従業員は目を丸くして、おおっ!と反応していた。
会社経営者

よくなっていると思う。
ボーナスは前年比で倍に。
景気の良さを実感している人がいる一方で資源高の影響などでコストが上昇するなど厳しい業界もあります。
会社員

景気自体は良くないと思う。
深刻な状態。
日経225社に緊急アンケート
来年の景気見通しは悪化?
日本企業は国内の景気をどう見ているのか、WBSでは日経平均株価を構成する225社にアンケートを実施しました。
まずは今の景気についてです。半分以上の企業が拡大基調にあると回答。緩やかに悪化と答えた企業は12%にとどまりました。
景気拡大の要因として多くの会社が挙げたのはアフターコロナに向けた経済活動の正常化と個人消費とインバウンド消費の回復です。
コロナ禍で制限されていた経済活動の再開が景気を大きく押し上げていることが分かります。
一方で景気が横ばい、又は緩やかに悪化と答えた企業の85%が要因として挙げたのは物価上昇でした。
では、来年はどうなると見ているのか。景気が拡大基調にあると答えた企業は8ポイントを切り50%を割り込む形に。代わりに横ばい、又は緩やかに悪化と答えた企業が過半数に達しました。
景気の先行きを厳しく見ている企業の回答を見ると物価の上昇が最大の要因であることに変わりはありませんが、2~4位は海外経済の後退がずらり。大企業が海外の景気減速を警戒していることが明らかとなりました。
海運業界 過去最高益も
景気後退の足音が…
船で世界中に荷物を運ぶ海運最大手を訪ねました。
角谷暁子キャスター

日本郵船にやって来ました。
業績は好調ですが、今後の見通しはどうなっているのでしょうか。
日本郵船では今年4-9月までの決算で純利益が7,060億円と中間決算としては過去最高を更新。
家具や家電などの輸送が好調だったことや港の人手不足などで上昇した運賃が高い水準を維持したが利益を押し上げました。
海運業界では商船三井や川崎汽船も過去最高益を記録していますが、先行きについては厳しい見通しをしています。
角谷暁子キャスター
来年にかけて業績の見通しは?

日本郵船
丸山徹執行役員

夏場からスポット運賃も大きく下がって。
今年度の上期に比べると下期の数字はかなり低い水準を予想している。
実際、中国からアメリカ西海岸への輸送運賃は夏ごろから急落。通常であれば8-10月にかけてはクリスマスといった年末商戦向けの輸送が増える時期ですが今年は逆に荷動きが減っているといいます。
日本郵船
丸山徹執行役員

荷動きの量は「アジア→ヨーロッパ」は減っていて、恐らく景気減速。
ロシア・ウクライナ問題、インフレもあって消費が落ちているということだろう。
アメリカ向けも「景気減速で消費が減退?」という状態。
さらに荷動きが減っていくのか注目して輸送キャパシティーをマネージ(管理)することが大切。
見通したはず 事業縮小も…
中小企業は景気減速を実感
中小企業は…
町工場が多く集まる街、東京・大田区。その一角にあるのが…
日本エッチング
上原正年営業部長

これはプラスチック製品を作る金型にいろいろな模様付けをするための機械。
こちらの会社はプラスチック製品の製造に使われる金型の加工を行っています。
レーザー光線を使い細かい加工が可能で、スマートフォンのケースの製造などでこの会社の技術は欠かせないといいます。
資本金は1,000万円で従業員数およそ420人。
取引先のメーカーの中国進出に合わせて上海や大連にも工場を展開しています。
中国のスマホ市場が好調だったことなどから去年2月以降、最新の機器を導入するなどおよそ3億4,000万円の設備投資をしました。
しかし…
番組スタッフ
現在の景気は?

日本エッチング
上原正年営業部長

景気はよくない。
今までは事業展開を増やしてきたが、減らすことを考える時代になった。
ここにきて中国経済の減速が鮮明に。売り上げの見通しが立たなくなり、事業の縮小も考え始めたといいます。
日本エッチング
上原正年営業部長

大きな設備投資で業績が上がるはずが、まだそこに至っていない。
先が見えていない。