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[モーニングサテライト]イギリス ダイソン創業者単独インタビュー!"苦渋の撤退"EV開発で何を得た?

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世界的な家電メーカー「ダイソン」の創業者でチーフエンジニアのジェームズ・ダイソン氏にモーサテは今回、単独インタビューを行いました。

ダイソン氏は最近、自伝「インベンション 僕は未来を創意する」を出版し、成功の影に実は多くの失敗があったことを改めて振り返っています。

近年はDyson Institute、いわゆるダイソン大学を立ち上げるなど若いエンジニアの育成にも取り組んでいます。こうした取り組みが競争で勝つ上でなぜ必要なのか、そしてEV(電気自動車)の開発から撤退した決断の裏にどんな背景があり、そこから何を得たのかを聞きました。

ダイソン創業者 単独インタビュー

撤退のEV事業 収穫は?

豊島晋作キャスター

ダイソン大学でのエンジニアの訓練は順調か?

ダイソン創業者
ジェームズ・ダイソン氏

とてもうまくいっている。
学生たちは4年後には経験豊富なエンジニアに成長している。
彼らは勉強しながら週3日、エンジニアや科学者と仕事もしているからだ。
ダイソン大学はイギリスでも入学申し込みが多い。競争率は約15倍だ。
学生は給料をもらえる。車を持っている生徒もいる。
授業料もわれわれが負担するので借金をする必要もない。

卒業生のほぼ全員がダイソンに就職しているというダイソン大学。今後の研究開発にはこうした経験のない若い力が必要だと強調します。

ダイソン創業者
ジェームズ・ダイソン氏

今は世の中が急速に変化する時代。生き残るには技術革新が必要だ。
競争は非常に激しく世界規模だ。
その中で戦っていくには若い人材の方がいい。
経験がないのは良いことだ。人と違うことを試みる気概がある。
われわれは常に新しい技術、より高性能なモーターを求めている。
これは小さなモーター、1分間に15万回転する。
通常のモーターは毎分2万~3万回転、われわれは他とは違うことをやっている。
勇気があり、失敗を恐れない人が欲しい。経験豊富な人を雇ってもあまり意味はない。
経験豊富な人ほど失敗を恐れるものだ。

ダイソンは2017年にEV(電気自動車)事業への参入を表明しましたが、2年後に撤退。

今だから言える苦渋の決断の背景は…

豊島晋作キャスター

EV開発からの撤退で得た教訓は?

ダイソン創業者
ジェームズ・ダイソン氏

われわれが取り組んだEVは大成功だった。1回の充電で1,000キロを走破した。
しかし問題は「EVはもうからない」ということだった。
EVは作るのにとてもお金がかかる。大きな電池を搭載するものは特にそうだ。
ゼロから始めたので不利な立場だった。サプライヤーからは高い価格を請求された。
われわれが新規参入企業で発注数量が比較的少なかったからだ。
車と電池、両方の開発を同時進行させることはできなかった。
ある時点で私は選択を迫られた。残念ながら車は断念した。
ただし電池の開発は継続し、他の製品を開発することに注力した。

そのEV開発で育てたバッテリー技術は今後のビジネスに生きるといいます。

豊島晋作キャスター

あなたが書いた本によればダイソンは高効率でコンパクトな新世代の全固体電池を開発している。
電池の開発はあとどれくらいで完了するか?

ダイソン創業者
ジェームズ・ダイソン氏

技術的、科学的には目標を達成している。
その電池のための初の工場をシンガポールに建設中だ。
EVの開発に携わった技術者たちはヘアドライヤーや他の新製品など他のプロジェクトの電池開発に携わっている。
才能ある人が一気に流入してきた。
苦労はあったが得るものもあった。それはよくあることだ。

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