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[WBS]重症化防ぐ抗体カクテル療法!医療ひっ迫の歯止めになる?[社会福祉法人同愛記念病院]

2021年8月13日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

8月13日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者は全国で2万365人と初めて2万人を突破しました。

自宅で療養する患者が急増する中で症状が軽い患者に用いる新しい治療法として注目されているのが抗体カクテル療法です。

深刻化する医療ひっ迫の歯止めになるのか治療の最前線を取材しました。

社会福祉法人同愛記念病院

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東京都の8月13日の新規感染者は過去最多の5,773人。

自宅療養者は2万人を超えました。

自宅療養中に死亡するケースが増えていることを受けて菅総理は…

酸素の投与が必要になった場合、酸素ステーションを設置して対処する。

体制を速やかに構築する。

コロナ病床に空きがない病院が増え、酸素の吸入が必要な状態になっても入院先が見つからない患者が相次ぐ中、必要な処置を行う酸素ステーションを設置する方針を明らかにしました。

また東京都医師会は自宅療養者の見守り体制の強化に取り組むと発表。

東京都医師会の尾崎治夫会長。

保健所から連絡がいっても入院できる状況ではない、24時間の見守り態勢。

オンライン診療の形も含め、どういった形でフォローアップできるか検討していく。

往診や在宅医療を専門とする医師らと連携して自宅療養者向けの医療支援システムを新たに構築するということです。

また東京都全域を対象にオンライン診療を強化する計画も。

保健所は医師の診断が必要と判断した自宅療養者をオンライン診療に誘導。街のクリニックなどに医師が交代でオンライン診療にあたる仕組みです。症状が比較的軽い段階で診察し、自宅療養者の重症化を防ぐ狙いです。

そして重症化リスクを下げる効果が期待されているのが抗体カクテル療法です。

菅総理は8月13日、抗体カクテル療法を集中的に実施できる拠点を近く整備する考えを明らかにしました。

抗体カクテル療法は2種類の抗体を点滴で同時に投与する治療法です。

新型コロナウイルスは体内の細胞と結合し内部に侵入して増殖します。

点滴で投与する2種類の抗体がそれぞれウイルスと結合することで細胞に侵入するのを阻止。

ウイルスの増殖を防ぐことで重症化のリスクを減らします。

同愛記念病院では軽症のコロナ患者に対し、抗体カクテル療法を行っています。

同愛記念病院の感染管理担当、鈴木謙部長。

感触はいい、特に副作用はない。その後病気が進んでいる感触はない。

これまでに20人に治療を実施し、全員快方に向かったということです。

現在、この治療法は酸素投与の必要のない軽症から中等症の患者で基礎疾患などのリスクがある人のみが対象。入院して投与することになっています。

軽症症例でリスクのある人を重症化させない方法としては他にいま選択肢はない。

有効化率が7割ということなら非常に期待は大きい。リスクの高い人を優先的にやるのが合理的。

重症化を防げば病床のひっ迫を改善することにつながります。

しかし、治療の現場からは課題を指摘する声も…

抗体カクテル療法を行う別の病院ではこう話します。

東京医科大学病院の感染症科、中村造准教授。

中等症の病院で投与することになっているので一番大切な外来で管理する軽症の人に投与できない。

その実現には相当数の患者に打たない限りは医療逼迫をおさえる救世主にはならない。

投与が入院患者に限られる上、治療薬の数も足りていないのが問題だといいます。

厚生労働省は8月13日、これまで入院患者への投与に限るとしていた自治体向けの通知を改正し、病床を備えた「臨時の医療施設」となる宿泊療養で使うことができるとの見解を新たに示しました。

デルタ株への拡大が深刻さを増す中、新型コロナワクチンの開発責任者の発言が波紋を広げています。

アストラゼネカのワクチンを共同開発したオックスフォード大学のアンドリュー・ポラード教授です。

接種を完了した人でも感染する変異株の出現で集団免疫の獲得は不可能。

ワクチンの接種が進み、多くの人がウイルスへの免疫を持つと感染の流行が抑えられるとする集団免疫。

しかしイギリスではすでに6割以上の人が、18歳以上に限れば75%以上がワクチンの接種を終えていますが、デルタ株の感染拡大は続いています。

さらに感染力の強い変異株が出てくる。抑え込もうとするのではなく感染しても死んだり、入院したりしない対策に力を入れるべき。

感染しても重症化しないための治療薬の開発を急ぐべきだと警鐘を鳴らしました。

ワクチンの普及による集団免疫の獲得は難しいのか…

東京大学で新型コロナウイルスの研究を続ける佐藤佳准教授は全国民の8割以上がワクチン接種を完了した国はないので現状の段階では悲観的に予測する段階ではまだないとしています。

今後の推移を見守り、ワクチン接種は引き続き進める必要があるとしています。

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