新型コロナ危機の打撃から経済が急回復しているアメリカで人手不足がさらに深刻になっています。
アメリカの空港の一日の保安検査場通過人数はコロナ前の7~8割まで戻っていますが、10月は機材やパイロットのやりくりができず運行キャンセルが相次ぎました。
また小売りの現場ではより深刻な事態が起きていました。
D.M. Bowman, Inc
[blogcard url="https://dmbowman.com/"]
アメリカ・バージニア州のリッチモンド。
リカーショップではある異変が…
ワシントン支局の中村寛人記者。
こちらのリカーショップでは商品が店に入らなくなっています。
棚一列、ほとんど商品が置かれていません。
札には品切れと書かれていました。
実はアメリカでは東海岸の州を中心に店に酒が届かない状況となっているのです。
お客さまは…
普段買っているウイスキーをこの辺りの店では全く見かけなくなった。
状況はますます悪くなると思う。皆、酒を買い占めるようになるのだから。
店の広報担当者は品切れの理由について…
バージニアABCのテイラー・ソーンバーグさん。
アメリカ国内の主要な港で問題が発生している。
多くの船が大渋滞を起こしていて商品がタイムリーに入ってこなくなっている。
アメリカに入るコンテンの4割を担う西部カリフォルニア州の港では多くの船が入港できず沖合で待たされる事態になっていたのです。
コロナ禍で外出機会が減った去年、アメリカでは通販などネット上での取引が32.4%も増加。これが物流に根詰まりを起こしていました。
こうした事態にアメリカ政府は…
アメリカのバイデン大統領。
全国の物流・サプライチェーンを24時間体制にする最初のステップだ。
10月にバイデン大統領は2つの港を24時間体制の操業に切り替えると発表。
FedExなど大手の運送会社に対しては夜間に運ぶ荷物を増やすよう要請しました。
こうした対策で問題は解消に向かうのでしょうか。アメリカ東部の運送会社を訪ねました。
トラックの運転手が不足していて駐車場にはこのように動かせないトラックがずらりと並んでいます。
平日の昼間にもかかわらず50台以上のトラックが整然と並べられ、動き出す気配はありません。
ディーエム ボーマンの社長、ジム・ウォートさんは…
コロナ禍になってこの1年半の間に仕事を辞める者が出てしまった。
港が24時間稼働しても、そこから荷物を配送するトラックが足りていない状況だといいます。
ウォードさんもただ手をこまねいているわけではありません。
このポスターを作っていろいろな場所に貼っている。
うちで成果を出している長距離運転手の平均年収は10万4,000ドル(約1,185万円)だ。
社員の離職を食い止めるため今年2度に渡って給与を引き上げました。
しかし、ベテランの運転手は…
冬場の悪条件の中の運転は大変だ。
毎日ではないが夜の11時半起きの時がある。
口をついて出てのは厳しい労働環境についての言葉ばかり。
現在、全米でおよそ8万人のトラック運転手が不足しているとされています。
ウォードさんは今後、この問題が輸送コストの上昇にもつながると指摘します。
賃金の上昇分をカバーするためには取引先に負担してもらわなければならない。
需要が大きいにも関わらず労働力とのバランスが取れていない。
アメリカ国内の物流の7割を担うトラック輸送。ドライバー不足は今後、アメリカの経済回復の足かせとなるかもしれません。