新型コロナの感染拡大で使う機会が減ったもの何があるでしょうか。
多くの人が触った現金を使いたくないという人も多く、QRコード決済や電子マネーを使って買い物をする人の姿が目立つようになりました。
こうした電子マネーは様々な企業が発行していますが、いま注目されているのが「デジタル通貨」です。これは各国の中央銀行が発行する現金をそのまま電子化したもので、その開発は中国が先行しています。

実はいま新型コロナ感染拡大の裏側でこのデジタル通貨の開発競争が激しさを増しています。

デジタル人民元
今週、中国のネット上に流れたある動画。

銀行口座から50元が引き落とされた。

これで「デジタル人民元」に両替できた。

女性が使っているのはデジタル人民元のアプリ。

中国当局が秘密裏に開発したもので映像が出回るのは初めてです。

アプリの画面には毛沢東の肖像や78元と残高らしき数字も出ています。

さらに…
上海支局の谷口康輔記者、
こちら画面上にはさらにどんな機能があるかが見て取れます。

大きく4つのアイコンが出ていて、4つの機能があるというのが分かります。

中国の中央銀行である中国人民銀行は先週、このデジタル人民元アプリの運用実験を全国5ヵ所でスタートしたと公表。

実験は非公開ですが動画や画像は関係者から流されたと見ています。
実験の参加者に接触することができました。

情報が漏れないように秘密厳守の書類にサインさせられている。

男性は1ヶ月ほど前、政府系銀行のスタッフからアプリをダウンロードするように指示されたといいます。

デジタル人民元の口座と普通の人民元の口座の間で自由に金を動かせる。

担当者は「競争に勝つためにアリペイよりも機能が良い」と言っていた。

アリペイとは中国で9億人を超えるユーザーを持つスマホの決済アプリ。
店先に張り出されたQRコードをスキャン、金額とパスワードを入力すればわずか数秒で支払いが終わります。

デジタル人民元アプリもQRコード決済機能を備えていますがアリペイと大きく異なる点があります。

それは、
2つのスマホをタッチすれば使える。

それがアプリの画面の一番右にあるアイコン。タッチ送金のマークです。

このようにスマホとスマホをぶつけると電波がない状況でもその場で送金ができるため、いつでも、どこでも使える特徴があります。

デジタル人民元を通して中国が狙っているのが人民元の国際化です。

現在、貿易など多くの国際取引の支払いには米ドルが使われています。利便性の高いデジタル人民元を開発することで米ドルに対抗したい思惑があるのです。

しかしデジタル人民元には強力なライバルもいます。

リブラ
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO、
送金もメールのように簡単かつ安全にできるべきだ。

リブラはグローバル決済システムになる。

アメリカのフェイスブックが主導するデジタル通貨「リブラ」です。

リブラは世界中に26億人のユーザーがいるフェイスブックのユーザーを想定していて、実現すれば世界最大級のデジタル通貨となります。

中国としてはリブラに遅れを取るまいとデジタル人民元の開発を急いでいるのです。
デジタル円
デジタル通貨を巡る動きは日本でも。

日銀の黒田総裁、
日銀でも中銀デジタル通貨の研究チームを立ち上げていて、体制強化を図って取り組みを加速している。

日本銀行は今年、ECB(ヨーロッパ中央銀行)などと共同でデジタル通貨の研究を行うことを表明。

日銀が発行するデジタル通貨、いわゆる「デジタル円」の導入も夢物語ではなくなってきました。

さらに6月3日、民間からもデジタル円を後押しする動きが。

勉強会の座長を務めるヒューチャーの山岡浩巳取締役、
デジタル決済のインフラ整備競争は世界で急な動き。

相当スピード感を持って検討していく必要がある。

6月3日に発足したデジタル通貨勉強会。

メガバンク3行や電子マネーSuicaを発行するJR東日本などが参加し、キャッシュレス決済サービスの標準化などを議論します。

さらにオブザーバーとして日銀や金融庁も参加。

日銀がデジタル円を発行する場合の課題なども議論される見込みです。

世界ではGAFAなどのビッグテック、大企業が決済に参入してきている。

日本も民間主導でデジタル決済やデジタル通貨を考えていくべき。
