今週、中国で配車サービス大手「摘摘(DiDi)」が当局から個人情報の扱いをめぐって違反があったとして厳しい処分を受けました。
ディディのようなIT企業をめぐっては最近、中国政府による圧力が高まっていますが、一方で個人情報を巧みに利用した不可解な価格操作も社会問題となっています。

滴滴出行(DiDi)
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7月7日から上海で始まったAI(人工知能)の展示会。

アリババやテンセントなど巨大ITを中心におよそ200の企業が最新技術を披露しました。
しかし今、中国ではこうしたIT大手のサービスで個人情報をめぐる問題が浮上しています。

買えば買うほど実際支払う金額が多くなる。

あるショッピングサイトで同じ商品を買ったのにお得意様の方が価格が高くなるというのです。
こちらはタクシー配車サービスのディディ。乗車場所と行き先を入力すると料金を見積もることが出来る仕組みです。

お客様によって価格が違うということで実際に検証してみました。

上海支局の菅野陽平記者、

私はこの配車サービスをほぼ毎日使うのでダイヤモンド会員になっています。助手の徐さんはほぼ使わないので会員ランクは一番下です。実際に呼んでみたいと思います。

条件を揃えるため同じ出発地、目的地を設定。同じタイミングで試算すると…

助手の徐さんは9.85元ですが、私は20.63元。私の方が2倍以上高くなっています。

全く同じルートにも関わらずヘビーユーザーの方が2倍以上も高い結果に。
実際に乗車してみると同じ時刻で同じルートでも決済金額は助手は9.55元なのに対してヘビーユーザーの記者は19.71元でした。

徐さんは9.56元の割引が適応されている。私は割引はゼロ。

ヘビーユーザー、お得意様の方が高くなるのです。

サポート窓口に問い合わせると、当初はこのような価格設定の差を否定しましたが、
お客様によって割引券の有無が違う。割引券がなければ安くならない。

お客様によって違いが出ることを認めました。お得意さまが損をする不可解な構図です。

なぜこうした価格差が生じるのか、消費者問題に詳しい専門家は…
上海市情報サービス業協会の睦雷秘書長、
新たなお客様に対して各プラットフォームは大量の手当てを配っている。

とても安い価格でお客様を引きつけ、プラットフォームを利用する習慣をつけさせる。

さらに専門家が指摘するのはスマートフォンが関わった価格決定の背後にある分析手法です。
携帯の種類、ブランド品の嗜好、性別、年齢、学歴、収入、趣味。

あなたの"デジタル像"を作ることで価格をどの範囲内で負担できるか算定する。

一つの製品、サービスに対して「千人千価格」が現れる。

スマホから所有者のあらゆる情報を集め、価格への許容度を探っているのだといいます。

こうした個人情報の扱いについて中国政府はIT大手への規制を強化。個人情報保護法の制定に向けた準備を進めるほか、4日にはディディに対して個人情報の収集・利用について重大な違反があったとしてアプリの新規ダウンロードの停止を命じています。

ただ、政府の規制強化には懸念もあるといいます。
各イノベーション力には喪失してほしくない。

IT大手は私たちによりいい生活を提供してくれる。

イノベーションと消費者保護のバランスをとる必要がある。

こうした中、中国政府がディディのように海外で上場する中国企業に対して規制を強化する方針を発表し、株式市場の動揺を招いています。

6日のニューヨーク市場では中国の主要なIT企業が軒並み下落しました。

中国政府が7月6日に海外で上場する中国企業に対し、国境を超えるデータの取り扱いに関する規制を強化する方針を発表したためです。

先端技術をめぐり米中対立が激化する中、中国IT企業のアメリカでの上場をけん制する狙いがあると見られます。

さらに中国当局は7月7日、過去のM&Aの際に当局への申請がなかったのは独占禁止法違反にあたるとしてネット大手のアリババやディディなどに罰金を科す決定を出しました。

