車の安全性能が向上する一方でドライバーの不注意などから起きる悲惨な交通事故は後を絶ちません。こうした中、DeNAが交通事故を減らすための新たなサービスを始めました。AI(人工知能)を使ってドライバーに安全運転を指導するというものですが、事故削減の切り札になるのでしょうか?
株式会社ディー・エヌ・エー
[blogcard url="https://dena.com/jp/"]
ディー・エヌ・エーの中島宏常務執行役員、
AIとインターネットを活用して日本の交通システムをアップデートし、事故ゼロ社会の実現に貢献したい。
DeNAが6月4日に発表したのは交通事故削減支援サービス「ドライブチャート」です。
車の外の状況と運転席のドライバーをそれぞれカメラで撮影、映像を即座にAIで解析します。
外向きのカメラが撮影する映像からは車間距離が十分に取られているかなどを判別。
一方、内向きのカメラは…
橋本泰樹記者、
運転席に付けられたカメラで顔の動きを解析することで、例えば脇見運転などを検知することができます。
AIによる解析を通じて自分では気づかないうちに習慣となっているドライバーの危険な運転傾向を検出できるのです。
こうした結果をフィードバックすることで運転の改善につなげる事ができるのでき、半年間の実証実験では最大で48%の事故削減効果が得られたといます。
京王自動車株式会社
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この実証実験に参加し、いち早く導入を決めたのが京王自動車です。
タクシードライバー歴1年の菊池祥さん。
このシステムである事に気付かされたといいます。
加速しているときに急減速が起きやすいと気づいた。
例えば青信号が続き、加速しているときに突然お客様が現れた場合、急減速をして車を止めていました。
また信号が黄色になった時、通過するのではなく、信号待ちの一番前で停車してお客様を捕まえやすくするため急減速してしまうことも…
タクシードライバーとしての習慣が1年で染み付いてしまっていたのです。
「自分の癖は気付きづらいか?」
普段運転していて気付いていれば直しているので、気付いていないから癖として残っている。
実際に菊池さんのこれまでの運転の記録をチェックしてみると…
急加速や急減速での減点が目立ちます。
自分が気付いていないところを見える化して、気付きを与えてくれる点で今後活用していけたらと思う。
より安全な運転を心がけるようになってからは評価点数は上り始めています。
京王自動車の河野太陽取締役、
「もう少しここを良くした方がいいのではないか」と誰もが見て分かるような形で伝える手段がなかった。
事故や違反などが起こった後でのアプローチ。
起こる前の段階で何かアプローチができないかと。
そこが今回このシステムで壁を崩せるのではないか。
現場からの評判も上々のこのシステム。DeNAはまずタクシーやトラックなど商用車向けにサービスを提供しますが、将来的には個人向けの展開も考えています。
現在、社会問題になっている高齢ドライバー問題にも活用できるよう期待しています。
AIが毎月、運転特性を判別して「そろそろ危ない」と警告してくれれば子世代が親世代に「免許を返納したら」と言いやすくなるきっかけになる。