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[WBS]与党が正式合意!「反撃能力」で日本の防衛は…?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

日本の安全保障政策が大きな転換点を迎えました。

他国の領域で敵のミサイル基地などを攻撃する反撃能力、与党は12月2日にこの反撃能力を日本が持つことで正式に合意しました。

背景にあるのは軍事的な脅威が増す北朝鮮や中国の存在です。

政府はこのため来年度から5年間の防衛費を最大43兆円まで大幅に増額する検討にも入りました。日本の防衛はどこへ向かうのでしょうか。

反撃能力 与党が正式合意
歴史的転換も「歯止め」は?

弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮。

8月には日本のEEZ(排他的経済水域)内に初めてミサイルを落下させた中国。

さらにウクライナ侵攻以来、急激に関係が悪化するロシア。

いま日本を取り巻く環境は激変しています。

こうした中、12月2日に大きな動きが…

自民党
小野寺元防衛大臣

反撃能力ということを提言している中で両党の合意が得られれば。

自民、公明両党は敵のミサイル基地などを事前に攻撃する反撃能力を政府が保有することを認めることで正式に合意したのです。

政府はこれまで「専守防衛」の原則から反撃能力は持たないとしてきました。

他国からミサイル攻撃があった場合にはイージス艦などから発射する迎撃ミサイルで防ぐしかありませんでした。

しかし、今こうした日本の防衛網を破るべく周辺各国が猛スピードで飛ぶ極超音速ミサイルや、変則的な軌道で飛ぶミサイルを開発。

政府は敵がミサイルを打つ前に相手の領土でその基地を叩く、「反撃能力」が必要だと訴えてきたのです。

岸田総理

反撃能力そのものの議論はあくまで抑止力を高めて、ミサイルなどによる攻撃の可能性を一層低下させる。これが基本的な考え方。

ただ、反撃能力の考え方についてはこれまで与党内に慎重論も…

公明党
山口代表

憲法9条のもとで国際法の原則でもある先制攻撃の禁止。
これを踏まえて専守防衛の枠内で検討する。

そのため12月2日の合意では反撃能力の発動について、必要最小限度の自衛措置として、国民を守るために、他に手段がない場合など武力行使の3要件を満たす事態に限るとしたのです。

戦後から続いてきた日本の防衛政策が迎えた大きな転換点。

合意を取りまとめた自民党の小野寺元防衛大臣を直撃しました。

自民党
小野寺元防衛大臣

今までの政府の考え方は変えずに、ただ、この反撃能力を持つということは戦後60年以上の日本の防衛体制で大きな第一歩だ。
反撃能力を持つことによって、よりミサイル防衛をしやすくなる。
あるいは抑止力として日本が平和な国家として今後も継続できる。

さらに与党合意では他国を攻撃することになる反撃能力の行使にいかに歯止めをかけられるかという点に重視したと明かしました。

自民党
小野寺元防衛大臣

相手の攻撃があって初めて反撃ができるということ。
そのためには文章でしっかりこの状況を定めて、そして閣議を行い、最終的は国会の承認を行い、これだけの手続きをしっかりした上で、反撃能力の行使ということ、これを厳密にする。
そういう議論がかなりあって、時間をかけて丁寧にやったことだ。

反撃能力 ミサイル調達は?
懸念は最大43兆円防衛費

今回の与党合意をを受け、政府は年末までに改定する国家安全保障政策など安保関連3文書に反撃能力の保有を明記する見通しです。

今後は反撃能力を可能にするミサイルの開発を進めることになります。

政府が現在想定しているのは、すでに陸上自衛隊が配備している12式地対艦誘導弾の射程を1,000キロ以上に伸ばす改良。

ただ、開発には数年かかるため、ひとまずアメリカ製の巡航ミサイル「トマホークミサイル」の輸入も検討しています。

ただ、自衛隊OBは反撃能力を持ったとしても使うレベルに至るまでには時間がかかるとしてきます。

元海上自衛隊 海将
香田洋二さん

今までの70年の自衛隊の歴史とは全然違うことをやる。
持つといっても、物理的に対応能力がなければしょうがない。

さらに政府を悩ます大問題が…

12月2日、総理官邸には相次いで浜田防衛大臣と鈴木財務大臣の姿が…

反撃能力の保有などのため政府は今後、来年度からの5年間で最大43兆円の防衛費を確保する方向で調整を進めています。

しかし…

記者

防衛費についてのお話はされたか?

浜田防衛大臣

まだ、そういう話はないですね。

政府や自民党内では財源をめぐり法人税や所得税の引き上げのほか、当面は国債を発行してまかなうなどさまざまな案が検討されていますが膨大に膨れ上がった財源探しに苦慮しているのです。

岸田総理

浜田防衛大臣、鈴木財務大臣にもその後の状況について話を聞いた。
指示を出しているように年末に向けて政府与党で結論を出したい。

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