紛糾していた防衛費の増額に伴う増税の議論ですが、ようやく決着を迎えました。その中身は…
"防衛増税"ようやく決着
「実施時期」は明記せず
40代男性

600円なので1箱。年間24万円ぐらい。
やっぱり納得いかない。
防衛費増額の財源としてたばこも対象となった増税案。
角谷暁子キャスター
いま宮沢税調会長が会場へと入っていきます。

増税反対派の反発を招いてきた議論が決着を迎え、自民・公明の与党で合意に達しました。
自民党
宮沢税調会長

大変異論の多い話だったが何とか集中した審議で大枠について結論を得ることができた。
了承されたのは法人税、所得税。たばこ税の3つの増税案。
法人税は納税額に対し、4~4.5%の税率を上乗せすることとし、当初の5%という案から引き下げられました。
また法人所得のうち2,400万円相当を税額控除するため中小企業の9割以上が対象外となる見込みです。
所得税は当分の間、税率1%を新たに課税。負担を抑えるため復興特別所得税の税率を1%引き下げ、その分、課税期間を延長します。
さらにたばこ税は1本あたり3円相当を段階的に引き上げます。
特に自民党内で紛糾してきた3つの増税、今回了承されたことで2027年度には1兆円を超す財源を確保します。
しかし…
自民党
高鳥修一衆院議員

1週間で決めるにはあまりに拙速乱暴。
自民党
柴山昌彦元文科大臣

どれくらいの税収をどのぐらいの見込みで確保できるかについて、かなり不安。
いまだ自民党内でくすぶる増税反対の声。そのため、今回了承された案では岸田総理が年内の決着を指示した増税の実施時期をめぐり大きな配慮が見られます。
12月14日までは時期を明記する方針でしたが、一転「2024年以降の適切な時期」と結論を先送りする表現に修正したのです。
自民党内から反対意見が公然と湧き出る異例の事態に議論を終えた宮沢税調会長は…
角谷暁子キャスター
先送りになったことについては?

自民党
宮沢税調会長

細部までこの短期間で議論するのは難しいんだろうと思った。
かなり党内に意見が分かれていることもある程度分かっていた。
自民・公明両党は12月16日に来年度の与党税制改正大綱を正式に決定します。
岸田総理 直面した「身内」の不満
今後の政権運営に懸念も
佐々木明子キャスター
今回のこの決着をどのように見ていますか?

官邸キャップ
篠原裕明記者

一言で言えば「決めたようで決めていない」。
まさに自民党らしい玉虫色の決着だったと言えると思います。
岸田総理はもともと増税の「税目」「税率」「実施時期」を合わせて決めるように求めてきました。
しかし、結果的には増税の実施時期については「2024年度以降の適切な時期」だけと記して、来年の税制改正で改めて話し合うこととして、次の通常国会への法案提出も断念しました。
ただ、この決着であれば岸田総理側からすれば増税の方針は決めたと主張できるため、すでに12月15日に総理周辺からは予定通り2024年に増税するとの声が聞こえてきています。
一方で増税反対派からすれば来年の議論次第で増税は変更できる、覆せると主張でき、まさに双方に顔の立つ決着だといえます。
そもそも今回、岸田総理が突如1兆円増税の方針を示したのは1週間前で、政権の根回し不足も指摘されています。根回し不足は支持率が高ければサプライズと映りますが、低支持率では単に不満材料にしかならず、今回は現職閣僚からも異論が出る異例の事態となりました。
官邸キャップ
篠原裕明記者

今回の決着は政権に不満を持つ議員からすれば自分たち次第で総理の方針も覆せるという自信を与えることになったので、今後、岸田総理が政策を進めるにあたって予期せぬ抵抗戦力の出現を招きかねない状況になっているともいえます。