SDGs(持続可能な開発目標)、国連に加盟する国が2030年までの達成を目指しているもので、例えば「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」など17の項目に及んでいます。
このSDGsを経営の柱に据えているのが大和証券グループ本社です。
マーケットが乱高下する中、なぜSDGsなのか、中田誠司社長に聞きました。
シリーズ「トップの決断」です。
株式会社大和証券グループ本社
[blogcard url="https://www.daiwa-grp.jp/"]
和歌山県南部、上富田町。
山奥に1台のトラックがやって来ました。積んでいたのは大量の木材。
どんな木材かというと…
グリーンサーマル和歌山の野村誠二さん、
穴が空いたり、曲がったり、虫に食われたり、建材には使えない木材が集まっている。
そういった未利用材を集荷して発電用燃料に使っている。
実はここは発電所「紀南バイオマス発電所」。
木材を燃料にして電気を作るバイオマス発電を行っています。
機械で粉々にした木材をボイラーに送り、700度の高温で燃やし、電気を作る仕組みです。
木は成長する過程でCO2(二酸化炭素)を吸収するため、木材を使ったバイオマス発電は総合的にCO2の排出量が少ないクリーンエネルギーとされています。
去年6月に運転を始めたこちらの発電所、実は…
大和エナジー・インフラの児玉俊樹さん、
大和エナジー・インフラの児玉です。
ここはわれわれが投資している発電所。
大和証券のグループ会社が出資していました。
証券会社がなぜ発電所なのか、そこに隠されたトップの決断とは。
「発電所はいつから?」
再生可能エネルギー関連には2012年から投資を開始していた。
2018年に大和エナジー・インフラを作って、再生可能エネルギー、太陽光発電、バイオマス、風力などそういうプロジェクトに投資をしている。
政府は温室効果ガスの総排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを2050年までに実現すると表明しています。
中田社長はそのためには民間の投資マネーが必要不可欠だといいます。
カーボンニュートラルといっても実現するためには既存のエネルギーを新しい再生可能エネルギーに置き換えるため膨大な資金がかかる。
この資金を手当するには公的資金や銀行ローンだけでは全く足りない。
大和証券は先月、小会社が保有する北海道の太陽光発電所の社債を発行。投資家が直接、再生可能エネルギーの開発に参加できるようにしました。
SDGsに関する事業は他にも、農業にも進出し、去年から大規模なトマト農園の運営を始めました。
高齢による農業従事者の減少という社会課題の解決を目指しています。
「SDGsが経営の基本に盛り込まれていく?」
企業の事業そのものが何らかの形で社会課題を解決して、社会の役に立っているという形でないとやっていけない時代になっている。
コロナ禍の中で社会課題への関心はものすごい高まっている。
世界が今後ものすごい勢いでSDGsの方に流れていくと思う。
コロナ禍で人々のSDGsへの関心が高まっていると確信した中田社長。
先週発表した今後3年間の中期経営計画では「貯蓄からSDGsへ」という新たなビジョンを打ち立てました。
実はこの決断の背景には顧客の高齢化という課題がありました。
1,950兆円くらいある日本の金融資産だが、一番お金をもっている年代層が70~75歳のゾーン。
70~75歳になってくるともうけたいというニーズより、いま持っている資産をどうやって守っていくか。
どうやって次の世代につなげていくか、そっちのニーズの方が多い。
単に投資に回してリターンを得るだけでなく、そこに社会に役立つようなエッセンスを入れることで、もっと貯蓄からお金を引き出せないかと思っている。
シニア層の次の世代につなげていくための投資へ。
中田社長はこのニーズの変化をSDGsというキーワードで捉えていました。
最後に日本経済の今後について聞くと…
今年は後半から持ち直して2%弱のプラス成長になる。
来年は3%を超える成長になるんじゃないか。
ちょうどコロナ前と同じ水準になるとみている。
国内でもワクチン接種が進むことで来年の夏頃にはコロナ前まで回復すると見る中田社長。
株価については…
「日経平均の今後は?」
何が起こるか分からないという前提で、メインシナリオだけはしっかり持たないといけない。
2023年度に鬼に笑われるかもしれないかが、3万6,000円くらいになる前提でいろんな物事を組み立てている。