いまマーケットで起こっているリアルな事柄を伝える「Marketリアル」。
今回取り上げるのは科学メーカーのダイセルです。
ダイセルの業績ですが22年3月期に予想は売上高・営業利益ともにコロナ前の水準まで回復してきています。ただ株価は軟調な展開となっています。
この状況をどう打破していくのか、そのための成長と分配の戦略を経営トップに聞きました。
"国内唯一"科学エーカー
瀬戸内海に面した兵庫県の工業地帯。
その一画に東京ドームおよそ18個分という敷地を持つ巨大工場があります。
ダイセルの網干工場です。
ダイセル 網干工場生産部の有馬秀樹さん。
あちらに見えるタワーで「酢酸」を造っている。国内の約8割分。
その酢酸をもとに向こうで「酢酸セルロース」を造っている。
これが酢酸セルロース。
国内で量産しているメーカーはダイセルのみ。
木材由来の紙パルプから取ったセルロースと酢酸、つまり酢を反応させて造る植物由来の合成樹脂です。
ダイセルの事業は大きく分けて5つ。そのうち化粧品や健康食品の原料、液晶ディスプレイの保護フィルムのほか、タバコのフィルター用繊維などの工業原料に使われています。売上高のおよそ4割を酢酸セルロース関連の事業が稼ぎ出しています。
ダイセルの創業は今から100年以上前。
当時のおもちゃの原料に使われていたセルロイド、これを造る国内メーカー8社が合併した大日本セルロイドがその歴史の始まります。
現在、ダイセルの経営を指揮するのが小河義美社長です。
「ダイセルは海外売上高比率が半分を越えている。」
「ウクライナ危機の影響は?」
現在も原材料高で原油高でもあるので、その影響に関しては取引先と話をして、価格転嫁できるのものはしているが努力を続けていかなければならない。
特殊な事情が今回はあるので部分的に収益に影響を及ぼす可能性もある。
足元の業績についてはコロナ前の水準まで回復しているといいますが…
その株価は2015年に最高値を付けた後、1,000円を切る水準が続き軟調な展開です。
「ここ数年の株価を見るとさえない?」
さえませんね。
これは本当にわれわれの不徳の致すところ。
われわれの説明が悪いのと実際に業績についても転換期にあり、いま構造改革をやっている。
どういうことをやっているのかをもっと開示しないといけない。
構造改革に取り組んでいると語る小河社長ですが、社内ではおもしろ社長としても有名です。