体に装着するタイプの作業支援ロボットが空港や建設現場に導入され始めています。
ロボットを着ることから始まる新たな取り組みをご紹介します。
サイバーダイン株式会社
成田空港の荷物を預けるチェックインカウンターの中に見慣れないものを腰につけている人の姿があります。
これは一体?
サイバーダイン株式会社の中澤泰士さんによると、
これは重いものを持ち上げるときに作業の負担を軽減するために腰に着けるロボット。
実は体の運動機能を補助する着るロボット「HAL作業支援用(腰タイプ)」なんです。費用はリースの場合1ヶ月約10万円。
背中の筋肉「脊柱起立筋」に脳から伝わる信号をセンサーがキャッチ、中腰になるときにロボットが筋肉を支えるのです。
ロボットが動くことで腰の筋肉をサポートしています。
重いものを持ち上げる瞬間の動きにロボットが反応、腰の負担を軽減してくれているのです。
株式会社JALエービーシーの旅客荷持担当者は、
もともと腰痛をもっている。腰が痛くて仕事がきつかったがロボットを着けていると重いものも楽に運べるようになった。
成田空港では1月24日から空港内の預け荷物を運搬する業務で試験的に導入しています。
敬遠されがちな体に負担の掛かる仕事、その環境を改善させる必要があるといいます。
成田国際空港株式会社のIT推進部、松本英久さんは、
労働環境の向上という側面でロボットの導入はさらに進んでいく。
熟練職人がカムバック?
株式会社大林組
建設業大手の株式会社大林組。
技術研究所の上田尚輝さんは、
建設業の技能労働者のうち7割は腰に不具合をかかえている。
建設の現場では重いものを運んだり、中腰の姿勢で働く場面が多いため腰に大きな負担がかかります。
腰をサポートするロボットの導入は労働環境の改善につながります。
さらに高齢になった熟練職人や腰を痛めて働けなくなった人に現場復帰してもらうこともできると考えています。
10年後には労働者の平均年齢は10歳上がる。将来に向けてもっと労働者のケアが必要。
保険料が安くなる?
AIGジャパン・ホールディングス株式会社
この着るロボットに熱い視線を送っているのが保険会社のAIGジャパン・ホールディングス株式会社です。
加入者がケガをした場合、保険会社が保険金を支払います。支払額が増えるほど保険会社の負担は大きくなります。
高橋久さんは、
事故に対してお金を支払って終わるのがこれまでの保険会社の姿。ケガを未然に防げることで保険金の支払いを抑制できる。
AIGジャパン・ホールディングス株式会社は着るロボットを開発したサイバーダイン株式会社と2016年11月に業務提携をしました。
保険の加入者にロボットを使ってもらえればケガを減らすことができるので会社にとって大きなメリットがあると考えています。
業種、性別においてどんなケガが多いという情報を持っている。ケガを未然に防ぐため腰をサポートするロボットなどを紹介できる。
保険会社の負担が減れば将来的には保険料が安くなる可能性もあります。
着るロボットは労働環境の改善だけでなく保険業界のあり方にも影響を与えそうです。
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