こちらの絵をご覧ください。

皆さんご存知の名画、ムンクの「叫び」ですが、2012年のオークションでおよそ96億円という価格で落札されました。
一方、このムンクの「叫び」に引けを取らない価格が付いているのがこちらのデジタルアートです。

コンピューターを使って製作されたもので、アーティストが十数年かけて毎日コツコツ描いた5,000枚のスケッチを1枚の絵にまとめたというものです。5,000枚が入っているからギュッと密になっています。

この作品、デジタルデータですので通常の絵画のように手で触ることはできませんが、それにもかかわらず今年の3月、オークションに出されると75億円で落札されました。

この他にもツイッターのCEOのツイートが3億円で落札されたり、アメリカのプロバスケットボール、NBAが発行するデジタルトレーディングカードに2,200万円の値段が付いたりしています。

デジタルデータはコピーが簡単にできるので今までは価値が付きにくいものでした。
それがNFTという新たな技術によって莫大な富を生み出すものになりつつあります。その可能性を取材しました。

株式会社クリーク・アンド・リバー社
[blogcard url="https://www.cri.co.jp/"]
東京都内のオフィス。

ある変わった作品を手掛けるアーティストがいると聞き訪ねてみると…

ゴーグルを付けた女性が宙に描いていたのは火の鳥。
キャラクターから背景まで立体で表現したVRアートです。

VRアーティストとして5年以上活動しているせきぐちあいみさん。

モニターとVRゴーグルでは全然違うので一度見てください。

言われた通りゴーグルを付けて見てみると…

絵の中に入れました。この世界に自分がいる感覚になりますね。

原田修佑キャスターも挑戦してみましたが…
魚を描いてみよう。なんでこうなっちゃったんだろう…

せきぐちさんが描いた魚はこちら。その差は歴然です。

そんなせきぐちさん、最近ある挑戦をして大きな収入を得ました。
この作品をNFTアートにして約1,300万円で落札された。

こちらが1,300万円の値が付いたVRアート。

NFT(Non-Fungible Token)と呼ばれるデジタル証明を活用しています。直訳すると「変えがきかないしるし」という意味です。

通常のデジタルデータはコピーを作ると元のデータと見分けがつかなくなるためすべてのデータが同じ価値を持つことになります。

しかしNFTを付けておけば元のデータを特定できるため、この世にひとつしかない本物として希少価値が生まれることになります。

NFTの核となっているのがビットコインなどの暗号資産にも使われているブロックチェーンです。複数のコンピューターでデータを管理し、情報を改ざんしにくくする技術です。


私がNFTアートを出品したサイトです。

イーサリアムという仮想通貨でやりとりしている。

69イーサが日本円で落札当時約1,300万円になる。

デジタルデータはコピーできるし、誰にでも簡単に遅れるので価値が付きにくかった。

海外でNFTの高額事例が出てきたので、今かもしれないと始めた。

せきぐちさんは国内外のライブパフォーマンスで稼いできましたが、コロナ禍でそうした活動も困難になっていました。

そうした中、デジタルデータに価値が付くNFTに希望を見出しています。
NFTのバブルなんじゃないかと言われているが、バブルで一過性で終わるのではなく、落ち着いてから徐々に根付いていってみんなが活用するものになる。

このNFTでスポーツの新たな楽しみ方を作り出そうという動きも。

DeNA傘下のバスケットボールチーム「川崎ブレイブサンダース」。

先週の試合でスマホを使った新しいサービスを試験的に始めました。

ファン歴5年の小野亜利沙さん、早速試します。

選手1人1人がデジタルのカードになっていて実際の試合で活躍しそうな選手を5枚選んでチームを組みます。

選んだ選手がスリーポイントシュートを決めるなど活躍するとリアルタイムでポイントが加算。このポイントを参加者が競うゲームです。

自分の選んだ選手をリアルタイムで応援しながら追いたいので、スマホも気にしながら応援できる。

小野さんの結果は…
13位(約1,900人中)!すごい、けっこういった。

実はこのカード1枚1枚にNFTが付いていて、誰が持っていてどの試合に使ったかなどが全て記録されます。

このNFTの特性を生かして10月の本格稼働の際にはファン同士でカードを交換したり、金銭で売買したりといったトレーディングの機能の導入を目指しています。

DeNAがこうしたサービスを始める狙いは…
DeNA川崎ブレイブサンダースの藤掛直人さん、
コロナで会場も入場制限や無観客を余儀なくされている状態。

リモート観戦で横に熱狂している人がいなくても「この選手を予想したよ」などオンラインで他のファンと盛り上がってもらえれば。

NFTをスポーツ観戦やゲームなどより身近なものに応用することでNFTの可能性を広めたいといいます。
小さいなところから価値を積み上げていって、ファンと一緒に価値を作り上げるサービスにしたい。
