中国でいま注目を集めている食材がザリガニです。

日本では食材としてはあまり馴染みがありませんが欧米では一般の食卓に並んで高級食材として扱われています。
いま中国はそのザリガニを産業として育てようとしています。
その舞台裏を取材しました。

ザリガニブーム
中国中部にある湖北省・潜江。

この日始まったのはザリガニフェスティバルです。

会場では名物のザリガニダンス。

そして無料で振る舞われるザリガニ料理に人々が殺到していました。

会場には外国人の姿も…

実は中国は政府も後押しするザリガニ大国。

ザリガニ白書によると養殖量は10年で3倍となり世界最大に。

市場規模は約2兆5,000億円に上ります。

なかでも潜江は「ザリガニの故郷」と呼ばれ養殖のもととなるザリガニの子どもの半数以上を生産。

労働人口の8割がザリガニ産業に携わっているといいます。

市内のレストランは連日の満席。

名物がオイル煮して調味料で甘辛く炒めた皿いっぱいのザリガニです。

その味は?
試食した北京支局の山田博之記者は、
とってもプリプリしていて食べ応えがあります。臭みはまったくありません。

お客様は、
とってもおいしい!

ザリガニ料理にひと月約35万円使うよ。

潜江ザリガニ学校
加熱するザリガニブーム。
地元政府の補助金を受け2017年に誕生したのが潜江ザリガニ学校です。

講師、
2回太鼓を叩くから3回鍋を回せ!

鍋をしっかり持つんだ!

太鼓の音を合図に総勢30人ほどの学生が大きな中華鍋を回します。
この学校のスローガンがこちら…

潜江のザリガニは世界に羽ばたく!

ザリガニのエキスパートを育てるこの学校、調理のコースでは地元の伝統的な料理だけでなく、欧米では一般的なザリガニを使ったパスタも学びます。

ソースの味は濃く、塩味、酸味、甘味も加える。鮮やかな色にしなければならない。

熱心にその様子を見つめる生徒の胡錦鑫さん(20歳)。

実際に自分で作ってみるものの、うまくいきません。、
講師の手を借りてなんとか完成しましたが…
少し色味が薄い。味は悪くない。

ミスが多かったので努力して改善します。

養殖から調理まで各種カリキュラムは3年。
卒業と同時に調理師や栄養士といった資格を得られます。

胡錦さんの夢は世界に通用するザリガニシェフ。

中国人ならではの好奇心を原動力に世界中の人の口に合う要理を生み出したい。

湖北菜克集団
中国産のザリガニに世界から熱い視線も…
こちらは中国大手の輸出業者。

2,000人もの手によって茹でたザリガニの殻をむいてきます。

まさに人海戦術。

剥いたザリガニなどを冷凍し、1日最大300トンを出荷。
欧米や日本など約20ヶ国に輸出しています。

出荷先にはスウェーデンの家具量販店、イケアの食品部門も…

そのスウェーデンから訪れたのがバイヤーのヘンリク・エラスミさん。

イケアとも取引実績のある海鮮専門の卸業者です。

出荷量のペースを上げてほしい。

湖北菜克集団の担当者は、
来季に向け新たな輸出枠を確保できるように努力します。

エラスミさん仕入量を増やせることになりました。

スウェーデンではとても人気の食材で、国民は8月にザリガニパーティーを開く。中国のザリガニは極めて高品質で毎年毎年取引量は増え続けている。

この会社の輸出額は10年間で約6倍。

急速に拡大しています。
世界に広がる中国ザリガニ。
一大輸出産業として飛躍していくかもしれません。
