ヤフー株式会社や株式会社ディー・エヌ・エーが参入して話題となった遺伝子検査。
手軽に検査を受けられるメリットの一方でトラブルの相談が増加しています。
こうした中、信頼性を高めようとビジネスに関わる企業自身が動き始めました。
個人遺伝子情報取扱協議会
[blogcard url="http://www.cpigi.or.jp/"]
遺伝子検査をビジネスとする37社が加盟する業界団体が会見を開きました。
発表したのは消費者が安心して検査を受けられるという認定「CPIGI認定」を与えた事業者名でヤフー株式会社や株式会社DeNAライフサイエンスなど9社です。
別所直哉理事長は
消費者に「きちんとしたサービスだ」ということを判別してもらう「手がかり」にしてほしい。
実際に審査を行ったのは医療や情報セキュリティーなど6人の専門家。
「検査結果の科学的根拠」や「個人情報の取り扱い」など230項目を審査しました。
認定制度をつくったのは業界全体の信頼が低下するという危機感からか?
浸透していないサービスなので「何を基準に選んでいいか分からない」とか過度に心配する人もいるので「きちんとしたことをやっています」ということを認定を通じて分かってほしい。
遺伝子検査とは?
2016年1月、娘の勧めで夫婦で遺伝子検査を受けたという佐藤春子さん(仮名)。
唾液を採って送った。1人3万2,000円くらい、2人で6万5,000円弱、結構高い。
検査の方法は唾液を採って郵送し、生活習慣などのアンケートに答えるとパソコンで結果が見られるというものです。
佐藤春子さんの結果は唾液を送ってから約1ヶ月後に見れました。
そこに書かれていたのは約290の病気のリスクや体質の傾向です。
癌のリスクやデング熱へのかかりやすさ、肌のシワの出来やすさなどが記されています。
その中で佐藤春子さんは潰瘍性大腸炎になるリスクが高いと出ました。
しかし
「何これ分からない」と解析した結果はこれだと出された。
診断結果を見てみると数字が書かれています。
データをクリックするとグラフが表示されます。
グラフには佐藤春子さんの数値と日本人の平均値が並べられていますが、病気になりやすいのかはっきりと断言されているワケではありません。
消費者向けの遺伝子検査ビジネスでは遺伝だけでなく、生活習慣も関係する病気を対象にしているため明確にリスクを示すことはできません。
特定の遺伝子から病気を予測することは医療行為の「診断」になり医師法違反になります。
満足とは言えないけどこんなものかと、悲観的ではなくて、良いものは素直に希望を持って頑張ろうと、悪いところは早く治そうと捉えた。
北里大学
[blogcard url="http://www.kitasato-u.ac.jp/"]
企業の遺伝子検査サービスで人の体質や病気のリスクはどの程度分かるのか?
遺伝医学の専門家、北里大学の高田文男教授によると
血圧が高くなりやすい体質、がんにかかりやすい体質、体質というものは多くの場合、1つの遺伝子によってつくられるものではない。人間には1,000万ヶ所以上の遺伝情報の個体差が存在する。その個体差の「総和」として表に出てくるものが体質。
しかし民間サービスは基本的に1,000万ヶ所以上あるという「個体差」の数ヶ所だけを分析。
それを統計学で分析するものの、やり方次第で結果にブレが生じやすいといいます。
精度の面ではまだまだ不十分だと理解した上で「買ってみたい」と興味を持った人が理解して買うのはいいのだろうが、すぐに医療機関に行って何かをするとか、そういう話とは違う。
国民生活センター
[blogcard url="http://www.kokusen.go.jp/"]
遺伝子検査をする業者の中にはトラブルを起こす業者も少なくありません。
最も多いのが解約・キャンセルなどの相談です。
経済産業省の調べでは2015年には112件、そのうちの71件が遺伝子検査を使ったオーダーメード化粧水を扱う企業のものでした。
経済産業省は企業名に関しては公表していませんが同様のサービスを行っている企業の一つに該当する企業かどうか取材を試みると
こちらではお答えできないのでメールでお願いします。
メールの場合はすぐに返答してもらえる?
そうですね。そのようにします。
すぐにメールで質問を送りましたが、これまでに返答はありません。
そこで採取した遺伝子の送り先を訪ねてみました。
ポストに社名はありません。
施設の管理者によると
施設は利用されているが不在。われわれはここを貸しているだけなので情報は分からない。
郵便物もこちらに?
郵便物もここにきます。シェアオフィスなので。
現在、遺伝子検査サービスを提供している企業は代理店を含めると数百社にもなるといわれています。
どんな企業でも簡単にサービスを始められるため、厚生労働省の審議会のメンバーからは法的な規制を求める声も出ています。
しかし業界団体は法規制ではなく、自主規制で信頼性を高める考えです。
個人遺伝子情報取扱協議会の別所直哉理事長は協議会への入会の働きかけについて
必要になると思う。本当にたくさんの会社があるので自主規制をつくった以上、ルールを守るのが責任。いろいろな会社が登場してくれば個人遺伝子情報取扱協議会に入っていない会社にも話をする。