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[WBS]中国40年ぶり「歴史決議」採択!習主席 異例の3期目の道筋[中国共産党]

2021年11月11日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

11月11日、中国である重大な決議が採択されました。

中国建国の父として知られる毛沢東、その後実権を握ったのが鄧小平、経済成長のきっかけとなった改革開放政策を進めました。

現在中国にとって偉大な指導者の二人に肩を並べようとしているのが習近平国家主席です。11月11日に習主席自らが出席する重要な正義会議、6中全会で共産党100年を総括する、いわゆる歴史決議が採択されました。

歴史決議の採択は過去2度しかなく、時の指導者は毛沢東、そして鄧小平でした。習主席はこの歴史決議を極めて重視しているといいますが、一体なぜなのでしょうか。

中国共産党

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8日から4日間に渡って開かれた6中全会。

中国共産党の会議で国の重要政策や高官人事が審議されるものです。

焦点となったのは中国共産党の100年の成果を総括する歴史決議。

その中で建国の父である毛沢東思想によって最初の歴史的な飛躍があったとしています。

その一方、習近平国家主席の思想について中国文化と中国の精神の真髄であるとして中国の新たな飛躍であるとしています。

飛躍という表現で習主席が毛沢東と肩を並べる存在であることを強調しています。

中国共産党と人民は勇猛果敢な闘争心を持ち中華民族が立ち上がる段階と豊かになる段階から強くなる段階へ偉大なる飛躍をした。

習主席による統治がこれからも続くと思わせる表現も。

全党、全軍、全人民に習近平同士を核心として、さらに緊密に団結し第2の100年目標を達成し、中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現するため引き続き努力していこう。

また今回の会議では党幹部の人事については特に発表がなく、習主席の後継になると想定できる人物の登用はありませんでした。

後継候補を置かなかったことで今回の6中全会によって習近平国家主席が共産党トップの3期目を務める道筋がより固まりました。

習主席が主導した歴史決議。過去採択されたのは2度だけです。

こちらは今年7月に国営出版社が刊行した2度の歴史決議をまとめた本です。

最初の歴史決議を主導したのは建国の父、毛沢東です。

中国人民の不撓不屈の努力で着実に自らの目的を達成する。

建国に向けて続いてきた党内の対立と闘争。1945年、政敵を排除した毛沢東は「若干の歴史問題に関する決議」を採択し、党内の闘争に終止符を打ちました。

そして、この歴史決議は「毛沢東同士という指導者のもとで必ずや中国革命は勝利する」と結論づけました。

2度目の歴史決議。これは毛沢東の死後、最高指導者となった鄧小平のもとで1981年に採択されたものです。

注目を集めたのは…

毛沢東同士は"文化大革命"で重大な過ちを犯したが彼の一生を見ると中国革命の功績が過失に比べてはるかに大きい。

国内で多くの死者を出すなど混乱を招いた毛沢東の文化大革命。鄧小平はこの文革を公然と批判しつつも毛沢東の功績を評価した上で化学技術など各分野の近代化を進める決意を示しました。

毛沢東と鄧小平が主導した歴史決議に共通するのが過去の歴史を総括し、自らの政治路線の正しさを明確にした点です。

それにより自身の最高指導者としての権威を確立する効果をもたらしました。このため党内で極めて重要な意義を持つとされているのです。

今回の決議から見える習近平国家主席の狙いは一体何なのでしょうか?

北京支局の佐藤真人記者。

習近平国家主席が強く意識したことは党トップ3期目を務めるための正当性をどう打ち出すのかということに思います。

会議後に発表された声明では毛沢東の時代を中国が立ち上がった、鄧小平の時代を中国を豊かにしたと評価した上で自らの統治によりこれから中国は強くなると表現し、自分を過去の指導者と並ぶ存在に押し上げました。

こうして実績を強調することで習主席が異例の党トップ3期目を務めることに異論が出ないよう封じ込めることが狙いだと考えたれます。40年ぶりの歴史決議が採択されたことで来年秋の党大会で習氏が党トップ3期目に入り、習近平政権が続く道筋がほぼ確実になったかたちです。

習近平国家主席の体制は盤石なものになったのでしょうか?

今後の経済運営で変わってくると思います。今回発表された声明では習近平指導部の経済格差是正を進める取り組み「共同富裕」について「次の100年の目標の実現のために促進するべき」と位置づけられました。しかし共同富裕をめぐっては民営の大手企業が貧困対策費用として寄付を半ば強制するかたちになるため企業への圧迫になっている側面があります。

また今年から習主席の思想を小学校から教えるようになるなど自由にものが言えない雰囲気が強まっているのを感じます。中国経済が減速する中、成長意欲が強い民間企業の自由な発想を抑え込んで、低成長に陥ってしまえば国民の不安が高まる可能性があります。恒大集団をきっかけにした不動産業の不振や電力不足、原材料の価格高騰などの経済課題に対してどんな具体的な対応策を打ち出していけるかが今後問われることになります。

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