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[WBS]抗原検査キット!アメリカ 10億個無料配布に波紋も…

ワールドビジネスサテライト(WBS)

新型コロナの感染拡大により日本国内でも需要が高まっている抗原検査キットですが、アメリカでは10億個の無料配布が始まっています。この政策については評価の声があがる一方でビジネスの現場では波紋が広がっていました。

検査キット10億個無料配布!アメリカ コロナ対策巡り波紋も…

支持率40%台前半と低迷が続くバイデン大統領。

新型コロナ対策として訴えてきた100人以上の企業に対するワクチン接種の義務化は先月撤回に追い込まれました。

逆風の中、新たに打ち出したのは…

家庭用検査キットを10億個購入した。注文すれば無料で自宅に届く。

家庭用抗原検査キットの無料配布です。

専用のホームページで名前や住所を入力すると検査キット1世帯分4個が10日ほどで自宅に届きます。

こうした政策に街の人は…

無料配布は素晴らしい。アメリカ人は検査を受けることを必要としていた。

仕事を抜けて検査を受けるのはとても難しいことだった。ありがたい。

初期症状が出た段階で抗原検査を推奨しているアメリカ。世論調査では国民の84%がこの政策を支持するとの結果も出ています。

ただその一方でビジネスへの影響も…

ワシントン支局の中村寛人記者。

こちらはワシントン近郊の薬局ですが、家庭用検査キットは数が置いてあります。

今では店頭にある検査キットですが、先月は異例の事態に。

この薬局に勤めるザカリー・フィリップスさんに聞くと…

多くの需要があったが供給がなく買えるのは一部の人だけだった。

在庫を確保するため走り回っていた。

アメリカでは多くの人が移動する年末年始に検査キットの需要が拡大。品薄の状況が続く中で政府がキットの買い上げを進めたためさらに影響を受けたのです。

このため仕入れは困難を極め、さらに価格にも…

卸売価格も少しずつ値上がりした。

1箱26ドルだった価格が39ドルになり、10日間で47ドルまで上がった。

結局1箱26ドルだったものが57ドルまで値上がりした。

卸売価格が2倍以上に高騰。通常の価格で仕入れることができなくなりました。

この薬局ではすぐにキットが欲しいという人のために小売価格について1ヵ月以上利益なしで販売を続けていたといいます。

「26ドルの商品が10ドルも20ドルも高くなっている」とは言えなかった。

患者にとってこれ以上負担になるようなことはしたくなかった。

現在は価格が落ち着きましたが小規模な薬局の90%以上が仕入れに苦労したとの調査結果も公表され、アメリカの薬剤師会の幹部は政策には大きな問題点があると指摘します。

全米地域薬剤師協会のカート・プロクター氏。

薬局で検査キットを入手できなくなるというのは政策は適切なタイミングではなかった

政府の検査キットを1ヵ月近く前に注文したのにまだ届いていない人もいる。

政策の影響で検査を必要な人がすぐに検査を受けられない状況が続いたと指摘したプロクターさん。

さらにアメリカでは5人以上の世帯の数がおよそ1,200万にも上るため一律で4個配布する方針にも疑問を感じていました。

大家族の要望には応えられないかもしれない。

必要な人に必要な分だけ届けること。

その人が買えるような価格で提供することが非常に重要だ。

バイデン大統領への審判が下る中間選挙は11月。新型コロナ対策で支持率巻き返しとなるのでしょうか。

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