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[WBS]全数把握見直しへ!子どもの感染拡大“小児医療”は危機感

2022年8月17日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

現在流行している第7波で医療のひっ迫が続く中、現場の負担となっているのがすべての感染者の数を集計する「全数把握」です。厚生労働省はきょう、「全数把握」の見直しに向けた議論を本格的にスタートしました。一方、この第7波では子どもの感染が拡大していて小児医療の現場は危機感を強めています。

コロナ感染者23万人超!陽性者の全数把握見直しへ

加藤厚労大臣

社会経済活動をできる限り維持し、限られた医療資源を重症化リスクが高い人に集中していく。

8月17日に行われた加藤厚生労働大臣と専門家による意見交換。テーマに上がったのが全数把握の見直しです。現在、医師や保健所は全ての陽性患者の氏名や生年月日などのデータを国のシステムに入力する必要があります。これが医療現場の負担となっているのです。

8月17日の会合では専門家側が全数把握に代わる仕組みづくりに向け検討会を立ち上げ、議論していくこと提案したということです。

新型コロナ分科会
尾身茂会長

全数把握を少しずつ止めるんだったらサーベイランス(調査)というかデータの質が落ちる。
それを乗り越えるための方法などをかなり集中的に議論する必要がある。

こうした中、全国では8月17日に新たに23万1,499人の当たらな感染者を確認。前の水曜日と比べ1万8,853人減りましたが、いまだ高い水準が続いています。

第7波 子どもの感染拡大!小児医療ひっ迫に危機感

都内の小児クリニック「クリニック ばんびぃに」の8月17日の様子。外来には発熱した2歳の子どもの姿がありました。こちらの病院では7月以降、子どもの来院が急増しました。なかでも小学生以上の陽性率が高いといいます。

クリニック ばんびぃに
時田章史院長

6歳未満の未就学児のコロナ陽性率は2~3割。
小学生以上が発熱したら8割がコロナ陽性。

2月ころ、第6波の時は10歳未満の感染者は1週間でおよそ7万7,000人でした、しかし第7波になるとおよそ16万人と2倍以上に急増しているのです。

こうした中、感染した子どもを受け入れる病院「国立成育医療研究センター」では病床がひっ迫しています。

番組スタッフ

レッドゾーンという案内がある。

こちらの病院は重症用を含めて43床のコロナ向け病床がありますが、病床利用率は7月以降常に8~9割に。満床の日もあったといいます。

国立成育医療研究センター
感染症科
大宜見力診療部長

1日で新たに入院する患者が5人前後、退院する患者もそれぐらいでないと病床が満杯なので入院させたくてもさせられないことも。

小児科のある一般病院での受け入れを拡大してほしいと訴えます。

第7波子どもの症状に変化も!増加する"けいれん"対処は…

一方、子どもの症状にはある変化も。先週、国立成育医療研究センターなどは子どものコロナ入院患者の症状についてデルタ株とオミクロン株を比較した研究結果を発表しました。

2歳~13歳未満の子どもにおいて38度以上に発熱する割合は現在のオミクロン株の場合、デルタ株と比べるとおよそ倍に増えているといいます。

先月末にコロナに罹患した3歳の子どもを持つ母親に話を聞きました。子どもは39度以上の高熱で病院を受診。陽性と分かり自宅療養に戻った直後に異変が。

子どもが感染した女性

寝そべっているだけかと思って、呼んでも返事がないから「アレ」と思って見てみたら完全に意識がなかった。
吐いていたから、これはもう「救急車だ」と。

その後、5日間の入院で無事に回復しましたが容態の急変に不安を抱いたといいます。

子どもが感染した女性

ちょっともうビックリしてっていう感じ。

さらにオミクロン株にはこんな特徴も…

国立成育医療研究センター
感染症科
大宜見力診療部長

患者の中に占める"けいれん"の割合が結構高くなっています。

2歳から13歳未満の子どもにおいてけいれんの症状が見られる割合はデルタ株の3倍以上という結果が得られたのです。

それではけいれんが起きてしまった場合、どうすればいいのか。「RESCUE HOUSE」のサイトでは子どもが発症しやすい熱性けいれんの症状と対処法を紹介しています。

コロナによるけいれんではありませんが、高熱にともなう手足のけいれんや嘔吐などはコロナのときにも見られるといいます。

国立成育医療研究センター
感染症科
大宜見力診療部長

"けいれん"は大体3~5分以内で止まることがほとんど。
やってはいけないことは口の中にタオルや物を突っ込むこと。

体を横にし窒息しないようにすることが重要でけいれんが5分以上長く続く場合は救急車を呼ぶ必要があります。

第7波 子どもの感染拡大!学会はワクチン「推奨」に

では、子どものコロナ感染が広がる中、親はどう備えればよいのでしょうか。

クリニック ばんびぃに
時田章史院長

感染を防いで重症化を防ぐことができる一番効果的なのは現時点ではワクチン。

日本小児科学会は先週、5~17歳の子どもへのワクチン接種を「意義がある」という表現から「推奨する」に変更しました。ただ、子どものワクチン接種に不安を抱く親は依然多いといいます。

クリニック ばんびぃに
時田章史院長

今年2月、3月くらいまでは重症化とワクチンの副反応を考えるとどうすべきかというスタンスだったが、今後のことを考えるとワクチンを接種するメリットの方が圧倒的にデメリットよりも上回る。

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