国が発行する新型コロナワクチンの接種証明書ですが、自治体による旅行の割引や海外渡航の際なども必要になります。その信頼性を揺るがしかねない事件が起きました。都内のクリニックの院長がワクチン接種をしていない人を接種したと装って逮捕されました。接種していなくても接種証明書が取得できるようになっている可能性があり、波紋が広がっています。
ワクチン接種記録 偽装で逮捕!接種証明 高まる需要が背景に
逮捕されたのは王子北口内科クリニックの院長、船木威徳容疑者です。知人女性から依頼され、女性とその子ども、合わせて3人分のうその予診票を作成し、国のシステムに虚偽の接種記録を登録させるなどした疑いがもたれています。
船木容疑者は去年、自身のフェイスブックにこんな投稿をしていました。
船木容疑者のSNS
当然、どうしても接種証明書だけを欲しい人たちもいるわけで、実際には接種をしなくても証明書だけを交付しているひとがいるのは、容易に想像できます。
船木容疑者と女性が知り合ったのはある投資セミナー。警視庁によるとともにワクチンに否定的だったと見られ、2人は接種証明書のことを「なんちゃって証明」と呼んでいたといいます。
女性は警視庁の調べに対して「接種証明がないと不利益を被ると判断した」という趣旨の話をしているということです。
不利益が出てしまうと語った女性、実際にワクチン接種証明書はさまざまなサービスの割引などに活用されています。
多くの観光客が行き交う京都。9月12日から始まったのが大阪と京都の観光における地域間の相互割引制度です。大阪の割引開始と合わせて再開されました。
宿泊や旅行の代金から1人1泊最大5,000円割引し、土産物などに使えるクーポンも最大2,000円分が付いてきます。
レヴェルト京都鴨川
成田和弘支配人
ホテルは大阪府からのお客様が多く、今月は3連休が2回あるので大阪のお客様には京都に来てもらって気分転換してもらえれば。
その割引に必要になるのが新型コロナ3回目のワクチン接種証明です。
東京都の都民割など多くの自治体がこうしたワクチンの接種証明を条件にしているほか、アメリカへの渡航にも必要となっているのです。
中垣正太郎キャスター
都内にあるこちらのクリニックでも新型コロナワクチンを接種したことにしてほしいという相談があったそうです。
東京、品川区にあるクリニック「ひなた在宅クリニック山王」ではワクチンを打たずに接種証明を出してほしいとの相談が100件以上来たといいます。
ひなた在宅クリニック山王
田代和馬院長
怖いから打ちたくないけどいろいろ必要だから協力してもらえないか。
今回の事件のようにワクチンを打っていないのに打ったことにすることは簡単にできるのでしょうか。
ひなた在宅クリニック山王
田代和馬院長
接種券さえあればやろうと思えばできてしまう。
接種券のバーコードを貼るだけ、ロット番号を貼るだけ。
僕たちが無難に記載するとそれだけでできる。
中垣正太郎キャスター
接種券を貼ってもらうだけで打ったことにできる?
ひなた在宅クリニック山王
田代和馬院長
できてしまう。
医師がワクチン接種の際につくる予診票。この予診票にバーコードを貼りさえすれば、接種していなくても証明書を発行できるといいます。
使用されなかったワクチンはどうなってしまうのでしょうか。
ひなた在宅クリニック山王
田代和馬院長
打ち終わったとして破棄している。
中垣正太郎キャスター
打たずに捨てている?
ひなた在宅クリニック山王
田代和馬院長
おそらく。
厚生労働省の担当者は今回の事件について…
厚労省担当者
接種者と被接種者が共謀してというのは想定していなかった。
証明の信頼性にも関わる。
手続き自体を変更しようなどは現状検討していない。