まだ食べられるのに捨てられている食品の量は日本国内で1年間におよそ646万トンに上るといいます。

そのうちの半分、およそ290万トンが家庭から出されています。

こうした家庭から出されている食品廃棄ゴミを減らすために各企業でレシピ作りをする取り組みが始まりました。

家庭の食品廃棄
東京・三鷹市。

夫と子供の3人暮らしの小島富子さん(46歳)。

息子の大樹くん(9歳)は食べ盛りの小学4年生です。

気を使っているのはなるべく手作りすることと生の野菜を食べさせようかなと思っている。

冷蔵庫を見せてもらうと確かに野菜がずらり。

しかし…
小松菜とか比較的食べるんですけど冷蔵庫の奥の方に行っちゃってしなびちゃったりとか。

消費期限切れたとかたまにあるので、そういう時は「やっちゃったな」と思う。

特に今年の夏は暑さがきつく野菜が痛むのが早かったといいます。
実はこうした家庭の食品廃棄が問題になっています。

その原因には消費期限切れに加え、調理の際に出る切れ端やさらに食べ残しなどの3つが挙げられます。

クックパッド株式会社
[blogcard url="https://cookpad.com/"]
そんな中、家庭の食品廃棄を減らすため新たな取り組みを始めた企業があります。

料理レシピサイト「クックパッド」の本社。

そこには「CREATIVE COOKING BATTLE(クリエイティブ・クッキング・バトル)」というワードが…

実はクックパッドなどが中心となり家庭の食品廃棄を減らすための料理コンテストが企画されたのです。

横尾祐介部長は、
少しでも多くの人にフードロス(食品廃棄)という問題を知ってもらいたいと思い今回のイベントを実施することにした。
こうした問題は1社で解決できる問題ではないのでなるべく多くの仲間と広げていきないなと。

クックパッドの呼びかけに企業を中心に40チームが集まりました。

制限時間以内に主催者が用意した食材でいかに食品廃棄の少ない料理が作れるかを競い合います。

株式会社ジョンマスターオーガニックグループ
[blogcard url="http://www.johnmasters-select.jp/s/top/CSfTop.jsp"]
参加企業のひとつを訪ねました。

ジョンマスターオーガニックは主にオーガニックシャンプーを製造・販売する会社です。

大村一久部長は、
廃棄になるかもしれない食材をうまく使うことは自分たちのコンセプトにも合った活動。

自社のコンセプトと食品廃棄の削減には相通ずるものがあると参加を決めました。
消費者庁
[blogcard url="http://www.caa.go.jp/"]
さらに消費者庁が参加します。

実は消費者庁は食品廃棄削減のためにこれまで530以上のレシピをクックパッドに掲載してきました。

消費者政策課の橋本浩子さん、
頭で考えているのとやるのはまた違うので、でも精一杯がんばります。

絶対に企業の方には負けません。

CREATIVE COOKING BATTLE
消費者庁、ジョンマスターオーガニック、スタートトゥデイ、アドビシステムズの4チームで予選の1回戦を戦います。

そして迎えた8月23日。

参加チームが続々と会場に集ってきました。
使う食材は主催者が用意した肉や魚、野菜など。

そして参加者たちが家庭で使い損ねていた食材を持ち寄りました。

その理由も書いてあります。
妻と別々に買い物したらかぶってしまいました。

こちらのニンニクは、
安かったので買いすぎちゃいました。

家庭で使い損ねた食材や消費期限間近の食材をどううまく使うかも採点のポイントです。
各チーム、この中から食材を選びます。
ギョーザが優先。

消費者庁は餃子の皮に狙いをつけました。

よーいスタート!

各チーム、一斉に食材選び。まさに争奪戦です。
食材を集め終え、一息ついた各チーム。

と、そこへ主催者から余った食材が強制配布されました。

想定していなかった食材を使い切れるかも重要なポイント。

まず消費者庁チームは作戦通り餃子の皮を獲得していました。

ジャガイモを切るとゴミを出さないように皮はむかずにそのまま餃子に包み込みます。
餃子の中になんでも包んでしまおうという作戦です。

さらに良く捨てられがちなレタスの芯も包丁で細かく刻んで使います。


一方、ジョンマスターオーガニック。

ほうれん草の根に近い部分もよく切って捨てられる部分ですが、そのほうれん草をまるごとミキサーにかけました。


ほうれん草をすべて使い切ってしまう作戦です。
強制配布された大根はピーラーで皮をむき捨てるかと思いきやその皮は鍋の中へ。


やがて、
終了!

45分間の調理タイムが終了。
消費者庁はご覧のメニュー。

スープの中にはレタスの芯やしいたけの軸など普段は捨てられがちなものも入っています。
生ゴミはほとんど出ていません。

ジョンマスターオーガニックはほうれん草を全部使い切ったスープです。


大根の皮もこの中に入っています。
こちらも生ゴミは少ないのですが消費者庁チームよりはやや多め。

そして審査員が審査します。
食品廃棄の少なさに加え、味、見た目、独創性の合計ポイントで決まります。

そして優勝は、
優勝はジョンマスターオーガニック!

ジョンマスターオーガニックが優勝。
2位の消費者庁チームと比べ生ゴミの量ではやや負けましたが味や見た目が高く評価されました。

自分たちにも社会的にも食品廃棄削減の啓蒙活動につながるのであればもっと参加していければと思いました。

初の開催を終え発起人の横尾さんは、
今後は自治体や学校のイベントなどそうした形でこのムーブメントが広がっていくことを期待しています。
