仮想通貨取引所大手のコインチェックが外部からの不正アクセスを受けて約580億円分の仮想通貨NEM(ネム)が流出した問題。
金融庁は1月29日、コインチェックに業務改善命令を出し、2月13日までに報告するように求めました。
今回、WBSではセキュリティー面に甘さはなかったのか、なぜNEMが標的になったのか、さらに返金のメドはたっているのか、この3つについて緊急取材をしました。
コインチェック株式会社
[blogcard url="http://corporate.coincheck.com/"]
基本的、知識というか、常識に欠けていると感じる。
仮想通貨の取引所、コインチェックに対し「常識に欠ける」と避難した麻生太郎大臣。
金融庁は1月29日、コインチェックに業務改善命令を出し、再発防止策などを2月13日までに報告するように求めました。
今回は取引所への不正アクセスにより、約580億円分の仮想通貨「NEM」が流出。
なぜ、このような事態を招いたのか?
セキュリティー面に甘さ
過去、WBSの取材では、取引所の安全性について、レジュプレス(現コインチェック)の大塚雄介氏は、
ある程度の審査を受けた取引所なので安心して使っていただける。
オフラインに置けば絶対ハッカーは来られない。不安はなくなっていく。
コインチェックは顧客の仮想通貨をインターネットにつながっていない状態で管理。絶対に盗まれることはないとしていました。
しかし、今回流出した「NEM(ネム)」はネットにつながった状態で保管していました。
これについて和田晃一良社長は、1月26日に、
技術的な難しさと、それ(ネットにつながらない状態)を行うことができる人材が不足していることが原因。
セキュリティー対策を二の次にして取引所を運営していたコインチェック。
急激に拡大する仮想通貨市場の裏では歪が生まれていました。
会見の翌日には返金を求め、コインチェックに押し寄せる顧客の姿が…
放心状態。素直に貯金するべきかなと。
コインチェックでNEMを持っていた。保育園に子どもを預けていたら、知らない間に誘拐されていた、みたいな。
下手な管理はしていないだろうとユーザーは当然思います。会見聞いてみたら、かなりずさん。驚きました。
警視庁は今回の問題を受けてコインチェックの通信記録を解析するなど本格的な捜査に乗り出す方針です。
一方、金融庁は国内全ての仮想通貨取引所に対し安全管理体制が整備されているかなどを調査します。
なぜNEM(ネム)が標的に?
今回狙われた仮想通貨「NEM」。
価格は100円を超え1年間で200倍以上の価値に急騰しています。
2017年1月 | 約0.5円 |
2018年1月 | 約100円 |
専門家はNEMが特に日本人に人気があったことが狙われた理由の一つだと見ています。
仮想通貨を調査するアルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリストは、
日本人が集中していた通貨として「NEM」はかなり上位に入る。日本で一番大きな取引所が扱っている通貨なので、ハッカーはお金がたくさんあったところを狙ったのではないか。
このNEMの流出について、NEM財団という推進団体はインターネット上のどのアドレスに送金されたのか特定できたと表明。
不正に送金した犯人が円やドルに換えられない措置を取ったといいます。
返金のメドは?
コインチェックは1月28日未明、NEMを保有していた約26万人に対し、総額約460億円を日本円で返金すると発表しました。
しかし、コインチェックから報告を受けた金融庁は返金について「極めて説明が不十分だった」といいます。
創業まだ数年のベンチャー企業にそこまでの資金力はあるのか?
「取引所はそんなにお金を持っているのか?」
藤瀬チーフアナリストは、
非常にサプライズ。もしかしたら背後に援助するようなチームがある可能性も。
一方、コインチェックは月間4兆円もの取引をしていて、手数料収入で十分稼げていたという見方も…。
ブロックチェーン推進協会の杉井靖典副代表理事は、
コインチェックは毎月推定400億円、もうけがあったはずだと計算できる。収益性が非常に高い。
返金についてWBSがコインチェックに直撃すると、
支払いする資金、体力はあります。いつまでに補償を完了させるというはっきりした期日は申し上げられない。
問題はどこまで尾を引くのか、まだ不透明です。