温室効果ガスの排出を実質ゼロにする脱炭素社会に向けた取り組みが世界で拡大しています。
私たちに身近なペットボトルが貴重な資源として改めて注目を集めています。
飲料大手の日本コカ・コーラは5月13日、使用済みペットボトルのリサイクル事業をめぐり新たな戦略を発表しました。
日本コカ・コーラ株式会社
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5月13日、都内で開かれた日本コカ・コーラの戦略発表会。
今回新たに打ち出したのは…
日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ社長、
私たちの旗艦ブランドであるコカ・コーラに100%リサイクルペットボトルを導入する。
回収した使用済みのペットボトルだけを原料として作られる100%リサイクルペットボトル。
日本コカ・コーラは去年から「い・ろ・は・す 天然水」に採用していますが、今回新たに「コカ・コーラ」とコーヒーブランドの「ジョージア」にも導入するのです。
石油由来のプラスチックを原料としないため二酸化炭素の排出量を年間およそ3万5,000トン削減できる見込みです。
工場ではすでに新たな容器を使ったコーラの製造が開始されています。
日本コカ・コーラでの100%リサイクルペットボトルの使用率は去年の時点で28%でしたが、来年には50%、さらに2030年には90%を目指しています。
課題はある。例えばコスト。
これを使うと通常よりもコストがかかる。しかし新しい技術は高額なもの。
リサイクル100%に取り組むことはわれわれが真剣だという宣言でもある。
日本の使用済みペットボトルのリサイクル率は8割以上と高い水準を誇ります。
従来、ペットボトル由来の樹脂原料は加工しやすいというメリットもあって大半が衣料品や食品トレーなどに生まれ変わってきました。ただペットボトル以外へのリサイクルはその後廃棄されるケースが多いのも実情です。
一方、ペットボトルは同じ用途のため繰り返し再生できる循環型のリサイクルが実現します。
この動きを後押ししているのが温室効果ガスをゼロにする脱炭素社会への取り組みです。
各国で支援策が強化される中、温室効果ガスが抑えられるペットボトルのリサイクルは注目を集めているのです。
しかし、使用済みペットボトルはいま衣料品などさまざまな商品の原料として使われる貴重な資源です。
国内のみならず世界的にも需要が高まっていて飲料メーカーが使用済みペットボトルを確保するのは簡単ではなく奪い合いに発展する可能性もあります。
安定的な調達に向けてすでに動き出していたのがサントリーです。
サントリーMONOZUKURIエキスパートの小嶋幸次社長、
使用済みペットボトルをまた会えるボトルにするには地域の皆さま、自治体、企業が連携した活動が欠かせない。
今回新たに茨城県鹿嶋市との協定で使用済みペットボトルを直接供給してもらいます。
使用済みペットボトルは地方自治体が回収し、およそ3分の2が業界団体によってリサイクル業者に入札販売されるのが慣例。
サントリーはいわば使用済みペットボトルの産地となる自治体との結びつきを強めて回収料を増やして、来年にはリサイクルペットボトルの比率を現在の倍となる50%まで引き上げます。
入札だけだと価格で行き先が変わる。ペットボトルではなく違うところ(用途)に行く。
自治体が住民から集めたボトルを使うため安定利用するための大きな狙い。