世界的な原油高を背景にガソリン価格の高騰が続いています。
全国の平均価格は1リットルあたり162円と7年ぶりの高値水準となりました。
この事態を日本政府としてどう打開していくのか岸田新政権のキーパーソン、小林経済安全保障担当大臣がメディアの取材としては初めてとなるテレビ東京の単独インタビューに答えました。
株式会社タマサービス
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都内のガソリンスタンド「シンエネ 八幡山SS」。
こちらのレギュラーガソリンの価格は159円。先週から2円値上がりしました。
家計を圧迫してくる。つらい。
行楽の秋、これから観光で車を使いたいのに困る。
10月13日に資源エネルギー庁が発表したレギュラーガソリンの全国平均価格は162円を超え、6週連続で上昇しました。これはおよそ7年ぶりの高値水準です。
このガソリンスタンドでも1年前の同じ時期と比べてもおよそ30円高いといいます。
シンエネ 八幡山SSの佐藤大所長。
1年で30円は満タンにすれば1,000円以上違う。
この先どれくらい上がるのか怖い。
原油価格の指標となるWTI(NY原油先物)は11日の取引でおよそ7年ぶりに1バレルおよそ82ドルに達するなど高騰が止まりません。
原油高の影響はこんなところにも…
東京や埼玉などに52店舗を展開しているクリーニング店「アニカ」。
例年この時期は衣替えシーズンで書き入れ時ですが苦渋の決断をしました。
クリーニング店アニカを運営するタマサービスの山下知己営業部長。
ワイシャツが230円になっているが9月30日までは198円だった。
今月から価格を改定、ワイシャツだけでなくズボンやジャケット、セーターなども80円値下げに。
今回は過去最高の上げ幅となっている。
値上げは迷った。
値上げに踏み切った理由の一つがクリーニング工場にありました。
案内されたのは…
タマサービスの須﨑幸夫工場長。
これが実際に中で使われている石油系溶剤で色が透明。
9月1日から価格が上がった。1リットルあたり10%上がった。
皮脂による汚れなどを落とすために使う石油系のクリーニング溶剤。1ヵ月に使う量はおよそ130リットル。
この溶剤を再利用できる設備を導入するなどしていますがクリーニング料金に転嫁せざるを得ないほど石油系溶剤の値段が上がってきているといいます。
またプレスする作業に使う蒸気を作るためガスのボイラーを使っていますが、そのガスも原油高に連動し価格も上昇しています。
埼玉県北本市。
特産品の北本トマトを栽培する加藤さんも原油価格の高騰に頭を痛めています。
その理由が暖房です。
加藤トマト園の加藤浩さん。
どのハウスにも最低1台暖房機が設置されていて温度センサーで自動運転するよう設定。
その燃料はA重油。ガソリン同様、原料となる原油価格に比例して価格は上昇しています。
その影響は…
全部のハウスで使うと1ヵ月ぐらいで2つ分がなくなる。
8,000~1万リットルが1シーズンに使う燃料。
加藤さんは300坪ほどのビニールハウス3棟でトマトを栽培しています。
仮に燃料代が10円値上がりすれば8万~10万円余計に費用がかかります。
コストがかかったからといってトマトの値段を上げることはできない。
このまま燃料価格の高騰が続けば利益が出ないことを理由に栽培をやめる農家も出てくる可能性も。
その結果、生産量の減少によってトマトの価格が上がることも考えられます。
さらに値上がりしているのは燃料だけではありません。
サイドに防虫用ネットが張ってある。張り替えの時期。
ビニールハウスのビニールなども原油価格に大きく影響されています。
化学メーカーの担当者に聞くと…
住友化学のポリオレフィン事業部、野澤博事業企画部長。
原料は原油。原油を輸入していろいろなものを作る。
住友化学ではプラスチックの原材料の製造・販売を行っています。
原材料は果物を包むフルーツキャップ、マヨネーズのボトルなどの日用品から自動車の内装まで広く使われていますが、長引く原油の高騰に耐えきれず値上げしました。
コストダウンなど合理化をしてコストを消費者に転嫁させないよう動いた時期もある。
ただ足元で急激に原油価格が上がるとそういう努力にも限界がある。
専門家の第一生命経済研究所 経済調査部、永濱利廣主席エコノミストは今年後半の原油価格が1バレル平均80ドルで推移すれば今後1年間の家計負担は2万8,000円増えると分析しています。
世界的に高騰が続く原油価格。
家庭向けの電気料金に上限を設けたり、低所得者の支払いを猶予したりするなど対応に動く国も出ています。
ヨーロッパ委員会は10月13日、再生エネルギーのさらなる活用促進や複数の国での天然ガスの購入を検討することなどを発表しました。
国境を超えて人と物が動く中、経済活動にとってかつてないほど重要になっているエネルギーの安定供給。
岸田政権はエネルギーや半導体など重要品目の安定的な確保を担当する経済安全保障担当大臣を新たに設置。
今回の価格高騰に日本政府はどう対応するのでしょうか。
小林経済安全保障担当大臣。
エネルギーについては原油に限らず天然ガスなど経済安全保障の一つ。
需要が高まってブレント原油もWTI(NY原油先物)も上がってきているから非常に注視している。
備蓄のあり方も検討しているが最悪のシナリオを考えて、今の体制で大丈夫なのか、国民生活を守れるのか、しっかり不断に見直していく必要がある。