今までの常識や社会の在り方を変える若きゲームチェンジャーに迫るこの企画。
4回目の今回はAIベンチャー「シナモン」の平野未来さんです。
政府の専門委員も務めるなど日本のデジタル化を引っ張る若きリーダーで、そして2人の子どもの母親でもあります。
平野さんが取り組むのはAIを生かした企業の働き方改革です。
事業に取り組む根底には子どもたちへの未来の思いがありました。
株式会社シナモン
[blogcard url="https://cinnamon.is/"]
東京・中野区にあるアニメ制作会社「ギークトイズ」。
テレビアニメのシリーズなどの政策を手掛けています。
オフィスを案内してもらうとアニメ制作の真っ最中。
こちらの男性が行っているのは…
素材に色を塗っている。
アニメーターが描き上げた作画に色を付ける"仕上げ"という工程。
1日に塗る量は50~70枚。
「気の遠くなる作業?」
そうですね。
キャラクターの動きをより滑らかにするため、30分のアニメをつくるのに使われる作画はおよそ5,000枚。
膨大な仕事量に支えられるアニメ制作。業界全体としても課題になっているのが長時間労働です。
アニメ業界で働く人の1ヵ月あたり平均作業時間は230時間。これは法律で定められた上限を超えています。さらに300時間を超える人も…
これを解決するために採用したのが…
ギークトイズの制作部、石原直樹部長。
AIが自動で塗ったもの。
こちらの会社が導入を決めたのがAIによる色付け作業の自動化です。
見本になる色付けされた作画1枚とこれから色付けする作画をこのシステムにアップロードします。
するとおよそ1分でAIが自動で色付けしてくれます。
これにより作業時間は従来の10分の1に。
色を1枚1枚塗る作業がルーティンワークなので短縮される。
その分、キャラクターの色を決めることやアニメーションを動かすなど根幹的な仕事ができる。
繰り返しの作業を自動化することでAIにはできないよりクリエイティブな仕事に集中できるようになるといいます。
ただよく見ると目の部分が黒くなっています。
現在はまだ始めたばかりで精度は高くありませんが機械学習などを経て人間と変わらない精度を目指します。
将来的には働き方改革に貢献できる。
このシステムを開発したのがスタートアップ企業の「シナモン」。いまAIによるデジタル化の分野で注目を集める企業です。
シナモンを率いるのはこちらの女性。平野未来さん(37歳)です。
平野さんは3歳と4歳の子どもを育てる二児の母。シナモンAIを始めたのは子どもたちへの思いでした。
平野さんは共同創業者と起業。シナモンAIの事業を始めました。
現在社員数は国内外におよそ200人います。
AI事業をはじめたきっかけは2015年に20代の女性が働きすぎて過労死する痛ましい事件があった。
将来、自分の子供が過労死するかもしれない。
そんな未来は絶対つくっちゃいけない。
ゲームチェンジャーの強み。
AIによる次世代の働き方改革。
平野さんは日本企業の働き方改革を進めるためAI導入の提案をさまざまな企業に行っています。
この日訪れたのは工具専門商社「トラスコ中山」。デジタル化でこんな悩みを抱えていました。
トラスコ中山の数見篤取締役。
地方にいる社員もたくさんいる。
彼らがどうしてもAIによる改革が自分事にまだなりえない。
全国の物流センターなどで働く社員が多い中、デジタル化がなかなか地方まで浸透していかない悩みを抱えていました。
現場の方に今どういう課題があるのか、どういう風にデジタルの力を使うべきなのか現場にプレゼンテーションしてもらう。
AIのシステムが社員1人1人の働き方によりインパクトを与えるためにはどうすればいいか議論し、システム開発に生かします。
シナモンAIはAIを通じて社会や世の中全体を良くしていこうと事業をしていて、この会社と組んでいくことが何か未来につながる。
平野さんのもとには現在デジタル化に取り組む企業から相談が殺到。シナモンAIのシステムを導入する企業は100社以上になりました。
私たち1社が頑張るだけじゃそれは実現できない。
企業のデジタル化支援を同時多発的に大量に行っていけば、もしかしたらこの社会問題は少しでも解決できるかもしれない。
若きゲームチェンジャー、平野未来が実現したい未来とは…
人とAIが共生する未来。20年後までには働き方を変えないと。
私たちの世代が変えていかないと変わっていかない。