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[WBS]「複雑な心境」明かす著者も…!注目集める"戦争題材の本"[株式会社中央公論新社]

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ウクライナ情勢の緊張が長期化する中、いま書店では戦争を題材にした書籍が注目を集め、異例の増刷に踏み切る本も出てきています。こうした中、全国の書店の店員が選ぶ本屋大賞に選ばれたのが「同志少女よ、敵を撃て」です。第2次世界大戦時の旧ソビエトとドイツとの戦争を舞台とした小説ですが、著者に話を聞いてみると今の状況について複雑な胸の内を明かしました。

ウクライナ関連書籍に注目!20年前の本が"異例の大増刷"

東京駅の近くにある八重洲ブックセンター本店。

入り口を入ってすぐの場所には特設のコーナーが。プーチン大統領や戦争をテーマにした本などおよそ30種類を1ヵ所に集めました。

八重洲ブックセンター
内田俊明さん

ウクライナにしてもロシアにしても知らないことが多いので、この機会に知ってみようとの動機で手に取る人が多い。

中でも売り上げを伸ばしているのが「物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」という新書。ウクライナの文化や1991年のソ連からの独立までの経緯を解説する内容で今から20年前の2002年に発売された作品です。

購入したお客さんは…

購入したお客さん

ソ連の中にウクライナがあったことは知っていたが、なぜ激しく憎み合うようになったのかこういう本で知ることができる。

出版・流通を手掛けるトーハンの調べでは直近の3週間連続で新書部門の1位となりました。

出版会社も異例の大増刷に追われたといいます。

「物語 ウクライナの歴史」編集担当
中央公論新社
小野一雄さん

ウクライナ侵攻以来、3月に入って特に動きが大きなっていて累計で9万部の重版になっている。

これまでの総発行部数は3万部ほどでしたが、この3月から1ヵ月あまりでその3倍近い9万部の増刷となったのです。

「物語 ウクライナの歴史」編集担当
中央公論新社
小野一雄さん

1回売れ行きが落ち着いてから売り上げが伸びていくのは珍しいケース。
ここまで伸びるのは想像していなかったので驚いている。

本屋大賞 逢坂冬馬さん!「複雑というより悲しい」

そして4月6日に発表された全国の書店員が最も売りたい本に贈る2022年本屋大賞でも…

本屋大賞、逢坂冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」です。

選ばれたのはこれがデビュー作となる逢坂冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」です。

第2次世界大戦時のドイツ・旧ソビエト戦を舞台にした物語で、ドイツ軍に母を惨殺された少女がソ連軍の狙撃兵になる様子を描いています。

去年発売されたフィクション小説ですが戦争の描写がリアルで今のウクライナの悲惨な状況を連想させると話題を呼んでいます。

作者の逢坂さんに話を聞くと複雑な胸の内を明かしました。

佐々木明子キャスター

この作品が世に出て、現実とあまりに重なる部分があります。その部分はどんな風に思っていますか?

「同志少女よ、敵を撃て」著者
逢坂冬馬さん

本当に最悪の形で時代性を獲得してしまった。戦争だけは本当に起きてほしくなかった。
作品を書いていた時には思ってもいなかった。複雑というよりも本当に悲しい限り。
だからこそ自分がコメントを発するときになるべく誤読を避けるようにしなければならない。
これは「武器を持って勇ましく戦え」という小説ではないということは言わなければならない。
現代のロシアが行っているのは明らかな侵略戦争だけど、ロシアを悪魔化して捉えないでほしいということも伝えていかなければならない。
こういう作品を世に出した以上は責任として逃れられない。

物語の中で主人公の少女は故郷の村が襲撃され、ひとり助けられたとき「戦いたいか、死にたいか」という二者択一の選択肢を迫られます。

佐々木明子キャスター

実際に例えばいまウクライナの皆さんを見ると女性や子どもたち、やっぱり弱い立場の人間が引き離されて避難に行く。こういう選択をせざるを得ない。女性の立場もいろいろあると感じます。

「同志少女よ、敵を撃て」著者
逢坂冬馬さん

女性が火炎瓶を手作りしたり、木製の自動小銃を使って銃の撃ち方を訓練していたりという姿がうつし出されている。
ただ忘れないでほしいのは、それらはヒロイックな状態ではなくて、市民が武器を手に取って戦わざるを得ない状況そのものがそもそも地獄なんだということ。

作品の売り上げの一部をUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に寄付した逢坂さん。例え停戦が実現したとしても戦争は終わったことにはならないと指摘します。

「同志少女よ、敵を撃て」著者
逢坂冬馬さん

おびただしい死と怒り、悲しみ、憎しみだけが残る。
関わって生き残っていくのも地獄でしかない。
実現してほしくなかったが、この作品が警告にはなったかもしれない。

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