中国政府の会見
7月15日に開かれた中国政府の会見。
中国国家統計局の盛来運報道官は
この半年、国民経済は安定している。経済の安定は明らかだ。
「安定」という言葉を実に30回以上も繰り返した盛来運報道官。
しかし、その発言とは裏腹に不安を残す結果となりました。
発表された2016年4-6月期の実質GDPは年率で6.7%成長。リーマンショック以来の水準となった2016年1-3月期と同じ低い成長でした。
原因のひとつは輸出が減少傾向にあることです。
さらに
イギリスのEU離脱問題など経済の不確定要素が増している。
民間からの投資も前年比2.8%増と振るわなかった。景気の先行きへの不安感から新たな投資に二の足を踏む企業の姿が浮き彫りになりました。
それでも中国政府が最低目標とした6.5%成長を上回った要因は政府による巨額の公共投資です。空港、鉄道、道路、今年1年の事業規模は34兆円にも上ります。
そしてもう一つ、不動産投資です。
不動産投資
北京中心街から車で30分、北京で開発が進む地域です。マンションの建設が相次いで行われています、
通州と呼ばれるこの地域一帯の不動産価格はこの1年で4割以上値上がりしています。
建設作業員は
とても忙しい。朝4時起きで残業のあるときは夜9時まで働くよ。
中国全体の2016年1-6月期の不動産開発投資で見ても前年に比べ6.1%増と高い水準を示しています。
なぜ再び不動産投資が高まっているのか?
不動産業者に電話で問い合わせると
すいません、取材は受けられない。
よく分からない。
取材拒否が相次ぎます。
実は不動産投機が加熱することを懸念した中国政府が上海など一部の都市で不動産所得の抑制策を打ち出し業者の口が重くなっています。
そこで北京市内の不動産業者を直接訪ねてみました。
店先にはこんな広告が、
19.5m2、160万元(約3,000万円)。
15m2、220万元(約3,400万円)。
狭い部屋なのに高価格の物件ばかり。
そのうちの一つに案内していただきました。
狭い小道を抜けると石造りの長屋が現れました。北京の昔ながらの家「胡同(フードン)」です。
売り出しているのはこの家、ではなくて家の中のさらにひと部屋。ベッドを置くだけで部屋の中がいっぱいです。
売値は?
10.6m2、230万元だ(約3,588万円)。
なぜこんなに高いのか?
小学校の学区だから。有名な黄城根小学校の学区だから、この価格だ。
黄城根小学校
中国では特に有名な小学校に人気が集まります。高い教育を受けさせるためで、その近くの物件が値上がりしているといいます。
6月18日午前4時、黄城根小学校の前に人だかりができていました。
この日は小学校の入学手続きの日です。待ちきれない熱心な親がすでに列を作っていました。
昨夜7時半から並んでいる。
学区内にマンションを買った、内装に手を入れてね。これからはここに住むことに決めた。
入学するためには子どもの親か親族が学校が定めた学区に不動産を所持する必要があります。そのためにわざわざ引越しをする親は多いといいます。
年末から今年にかけて価格が20~30%上がっている。学区の不動産市場は永遠さ。