世界第2位の経済大国、中国の電力事情について。
発電のおよそ60%を石炭火力で賄う中国ですが、国内外から大気汚染の原因と問題視されてきました。
そこで中国は脱炭素の達成に向け、再生エネルギーなどの比率を上げようと国を挙げて動き出しています。

中国核能行業協会
眩しいほどの陽光が降り注ぐ中国内陸の地、青海省。

日照時間の長さを生かし、ここ青海省で大規模な塩田開発が行われています。
砂漠を走ると見えてきたのは無数の太陽光発電パネル。

北京支局の佐藤真人記者、
私の身長の2倍ほどある太陽光発電パネルです。あたり一面に敷き詰められています。人間の目では端っこが見つけられないほどです。

中国が威信をかけ、2012年に建設が始まった巨大メガソーラー、太陽光発電所です。
その広さは東京23区とほぼ同じで、3分の1ほどが完成。

すでに一般的な原子力発電所の9基分に匹敵する出力があります。

3年前、この地を訪れたのが、
習近平国家主席が訪れた時の写真。

「太陽光発電の仕事をしっかりやるよう」託された。

パネルに近づくと放牧された羊が…

この地で盛んな羊の放牧のためくぐれる高さにパネルを設置。

さらにパネルを置いたことで影ができ、水の蒸発を抑え、草も生え、環境面でも一挙両得。

中国が目指す、再生可能エネルギーへの転換。地元政府の幹部は…
地元政府の担当者、張振飛副主任、
青海省と地元政府は国の二酸化炭素排出実質ゼロに貢献したい。

2025年までの14次5ヵ年計画で1,000万キロワットの発電所を3つ作る。

二酸化炭素排出量、世界一の中国が掲げる野望とは。

習近平国家主席、
2030年までに二酸化炭素の排出量のピークに到達できるよう務め、2060年までに二酸化炭素の排出実質ゼロを達成できるよう務める。

習主席は去年の国連総会で2060年に二酸化炭素排出量を実質ゼロにすると宣言。
その達成にもう一つ欠かせないのが原子力発電です。

現在49基が運転している中国はアメリカ、フランスに次ぐ世界3位。

福島第一原発事故以降の日本とは対象的に中国はいま世界で最も多い17基が建設中です。

発電量に占める原発の割合を現在のおよそ5%から2035年までに10%に引き上げる計画です。

コロナ禍の4月、北京では…

国営企業のゆるキャラも登場した原発推進を掲げる大規模展示会。

その目玉がこちら、中国が独自に開発したとする最新型の原発「華竜1号」。

今年1月、初めて営業運転を開始しました。福島第一原発事故の対応策もあるといいます。

中国核工業集団、
華竜1号は電気なしでも自然に作動する受動的な安全システムを3系統持っている。

緊急時に外部からの電源を失ったとしても水を自然に循環させて原子炉を冷やす仕組みになっていて、メルトダウンを防げるとしています。

その会場には海外勢も多数参加。

こちらはフランスの原子力代替エネルギー庁です。さらにこちらはロスアトム、ロシアの原子力の国営企業です。

世界の原子力の牽引役を目指す中国。協力関係を結ぼうと各国の機関や企業が集まりました。
イギリス大使館の担当者、
イギリスの商品やサービスを中国の原子力産業に輸出することやイギリスの原子力産業へ中国の投資を促進することに関心がある。

ロシアから参加、
この展示会はとても有意義だと思う。国際市場での原子力の可能性を示せる。

中国はすでに原発を輸出。巨大経済圏構想"一帯一路"と連携し、最初の輸出先となったパキスタンでも華竜1号が建設され、先週営業運転を開始したばかりです。


積極的な輸出政策でイギリスやアルゼンチンでも華竜1号の導入が決定。

業界団体の幹部は資源確保の観点からも原子力が重要だと訴えます。
中国核能行業協会の張廷克副理事長、
原子力開発は国のエネルギー安全保障の能力を強化する。

石油や天然ガスは外国への依存度が高く、エネルギー安全保障は大きな圧力に直面している。

エネルギー構造の変革は急務だ。
