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[モーニングサテライト]「中国焦点」混迷の中国経済!2023年はどへ…

モーニングサテライト

今年2022年、中国経済は大きく揺れ動きました。ゼロコロナ政策をめぐる混乱、不動産や地方政府も過剰債務など構造的な問題について解決のめどは依然立っていません。

2023年中国経済はどこに向かうのでしょうか。

警戒高まる春節
機能不全に陥った都市

12月20日の上海。普段は人々で賑わうエリアも閑散としています。

上海支局
菅野陽平記者

こうして見てみると店内にほとんどお客さんの姿がありません。かなり少ないです。
実際に見てみると多くの店が店員も確保できないということで閉まっている店が目立ちます。

ゼロコロナ政策の実質的な撤廃を受け感染が急速に拡大。機能不全に陥っているのです。

一方、スーパーでは…食料品の棚では売り切れが目立ちます。それでも多くのお客さんが訪れていました。

その理由が…

上海支局
菅野陽平記者

ネットスーパーの画面ですが商品をカートに入れて会計をしようとすると決済ができません。
商品を運ぶことができないとアラートが出ています。

感染拡大によってオンラインスーパーも機能不全に陥っているのです。

首都北京、火葬場には遺体を乗せたとみられる車の列が。病院から直接来たのでしょうか、救急車まで並んでいました。

大勢の死者が出ていることが推測できます。

日系企業の活動にも影響が出ています。半導体大手ルネサスエレクトロニクスの北京工場では従業員の安全を考え、操業を一時停止しました。

1月下旬には大型連休である春節を迎えます。感染がさらに拡大する懸念があります。

中国経済が専門の神戸大学の梶谷懐教授。政府も春節を特に警戒しているといいます。

神戸大学
梶谷懐教授

ここが一番重要。政府も対策で頭を悩ませている。
若い人と高齢者が接する機会はあまりないが春節の時はそれが起きる。
高齢者の感染リスクが非常に広がる。
移動制限がかかる可能性はある。

2023年 成長率は
来春から夏 回復可能か

2023年の中国経済はどうなるのでしょうか。番組に出演する専門家に先週末、調査を行いました。

来年2023年の経済成長率について聞いたところ最も多かった回答が4%台前半です。それに続くのが4%代後半でした。

ある専門家は感染拡大が上半期の成長率を押し下げる可能性が出てきた。景気回復にやや勢いが出るのは春以降と指摘。

また別の専門家は集団免疫が獲得されることで景気は2023年1-3月期に大底を付ける。その後は緩やかに回復していくと見ています。

春から夏にかけて反転時期を迎えるとの見方です。

2023年 3つの視点
中国経済 回復は…

梶谷教授に来年の中国経済のポイントを3つ挙げてもらいました。それが「財政出動」「保交楼」「I-IoT」です。

財政出動

神戸大学
梶谷懐教授

個人に対して給付金を行ったり、企業に対して雇用を守るための補助金を出したり、基本的に中国政府はやってこなかった。
ゼロコロナ政策のショックと合わせて非常に景気の低迷を招いた。
政府がお金を出して国債発行など財政赤字を増やして、景気を下支えする姿勢が必要になってくる。

低迷する不動産市場もカギになってくると梶谷教授は言います。

保交楼

神戸大学
梶谷懐教授

住宅に引き渡しの保証。
業者に対しマンションの建設資金の金利を下げ、優遇金利で借りられるようにする。
住民にも補助金を出す。税制の優遇をする。

I-IoT

3つ目はI-IoT、IoTの前の「I」はインダストリー、産業を指します。

つまり製造業のデジタル化を意味し、中国の国有企業や伝統的企業のデジタル化が進むことでこれまで低かった生産性の向上につながるというのです。

神戸大学
梶谷懐教授

国有企業、例えばビール会社など規模は大きいが生産の仕組みが変わっていない。
生産性が上がっていない、企業にIT技術を入れる。

日本企業の中国事業はどうあるべきなのでしょうか?

国際協力銀行が先週発表した有望な事業展望先で前年まで1位だった中国は2位へと順位を落としました。

番組スタッフ

日本企業の進路は?

神戸大学
梶谷懐教授

日本の本社に尋ねたところ、中国ビジネスは非常にリスクがあるという回答が多く、撤退か東南アジアや日本国内に生産拠点を移すなどの回答が返ってくる。
中国に進出している日系企業の現地法人に対してのアンケートもあるが、圧倒的多数は現状維持。
本社と現地法人の認識のギャップの存在を押さえておく必要がある。

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