中国のテクノロジーの最先端をシリーズでお伝えする「中国Tech」。
いま中国では1995年以降に生まれたZ世代の消費動向に注目が集まっています。消費の現場でZ世代を取り込むための最先端の取り組みを取材しました。
中国のZ世代狙う日本企業
例年11月11日に開催される「独身の日セール」。
14回目を迎えた今年、主要プラットフォームの売上高は合わせておよそ21兆円と去年より13.7%伸びました。
日本を含めた各企業が力を入れるのが、これからの消費の牽引役として注目のZ世代です。
資生堂が今年、日本でも発売した「SIDEKICK」、男性に特化したスキンケアブランドです。
資生堂
吕菁さん

中国のZ世代の男性は、上の世代よりスキンケアに対する関心が高い。
資生堂はこのSIDEKICKについて、まずは中国市場を狙っていてZ世代特有の肌の悩みに着目したといいます。
洗顔料だけでも5種類あるほか、顔のシートマスクはパーツごとに成分を変えるほどのこだわりです。
中国のZ世代を狙った展開はパナソニックも。
IoTに対応したペット用品。水の管理やエサやりなどが全てスマホから遠隔操作できます。
パナソニック
本間哲朗副社長

Z世代が欲しがるものをスピーディーに出すことが、この国でイメージを維持する上で大変重要。
そしてZ世代を狙った動きは商品開発だけでなく、販売方法まで大きく変えようとしています。
Z世代狙うバーチャル技術

私はシンプルでオシャレなデザイン性の高い服が好きです。
白いセーターに新しいロゴ、シンプルで活力がありますよ!
ライブ配信で洋服を売る男女、実は男性は人間ではなくCGで作られたバーチャルヒューマンです。
いま中国ではこうしたバーチャルヒューマンがネット通販の場で活躍し始めているのです。
ホンダが中国で販売する主力車種「アコード」のプロモーション映像。ここで登場する2人のバーチャルヒューマンは広汽ホンダが独自に作りました。
広汽ホンダ
森山克英総経理

今われわれが狙いたいZ世代はデジタルに非常に敏感な、当たり前に使っているお客さま。
非常に親和性が高いと思ったのがバーチャルヒューマン。
こうしたバーチャルヒューマンの火付け役となったのが「AYAYI(アヤイー)」。去年5月に誕生したばかりの架空のキャラクターですが、すでに国内外100社もの広告に採用されています。
なぜここまでヒットしたのか?
AYAYIを開発した
RM:Group創業者
于皛さん

ポイントは短い髪型。中国では有能で洗練され元気なイメージを表している。
銀は中性的で力が感じられる色。
日本では多くのアニメで主人公の髪は銀色。
ヒットの秘訣はヒットの秘訣は徹底的な調査。消費者だけでなく芸能人、インフルエンサー、さらには採用する側の企業経営者まであらゆる人の好みを綿密に計算して生み出されたのがAYAIなのです。
AYAYIを開発した
RM:Group創業者
于皛さん

バーチャルヒューマンのビジネス活用は必ず拡大します。
ブランドの目的はいち早くメタバースに近づくこと。
企業が見越しているのは仮想空間(メタバース)なのです。その活用はすでに始まっています。
アリババは今年、メタバース上にバーチャルモールを初めて開設しました。
上海支局
菅野陽平記者
スマートフォン上で操作しますが、かなり自由にサクサク動きます。
バーチャルの世界ですがリアルです。本当に街がそっくりこの中に作られています。

ユーザーの分身となるアバターは服の着せ替えができるなど遊び心をくすぐる仕掛けも用意されています。
街の中にはアディダスのスニーカー店にスイスの時計メーカー「TISSOT」の店舗。
中に入ると金の腕時計が展示されています。
上海支局
菅野陽平記者
これを押してみたいと思います。
商品のページですね、商品の詳細がCGで細かいところまで見えます。ベルトの留め金など、ちゃんとチェックすることができます。

もちろん、そのまま購入することも可能です。
車のディーラー、中に入ると自動車が宙に浮いて展示されるなどバーチャルならではの演出です。
中国でも始まったばかりのメタバースを活用したショッピングモール。
日系ブランドの販売支援をする企業は盛り上がってからの参入では遅いと指摘します。
トランスコスモス中国
岡田俊也さん

いろいろな企業が少しずつ取り組み始めた状況。
もう少し中身が盛り上がってくると消費者もついてくるということも出てくる。
早い段階から新しい取り組みをしていくということで、盛り上がってきた時に乗り遅れないような対応をすることが重要。