
新型コロナの感染が拡大している中国でゼロコロナ対策に対する激しい抗議活動が各地で広がっています。さらに日本や世界経済にも影響が出始めています。
中国「ゼロコロナ」に不満爆発
白い紙で政権批判も…
デモ参加者

PCRやめろ!自由がほしい!
26日に上海の路上に集まった大勢の市民たち。訴えているのは新型コロナウイルスを徹底的に封じ込めるゼロコロナ対策への抗議です。
この場所は上海中心部のウルムチロード。
27日も警察と市民が衝突し、パトカーに押し込められる男性の姿も。
連日続いた抗議活動、11月28日、そのウルムチロードでは…
上海支局
菅野陽平記者

週末、デモがあった通りにやって来ました。
道路側には青いバリケードが作られ、道路に出れなくなっています。
市民たちの抗議活動は上海にとどまらず、武漢や成都など中国各地で巻き起こりました。
彼らの怒りの導火線となったひとつが…
市民

火はまだ消されていない。
隣や上の部屋には入れない。
24日の夜、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きたマンション火災です。この火災では10人が亡くなったとされていますが、被害が拡大したのはゼロコロナ対策による封鎖で消火活動が遅れたのが原因とする情報が市民の間で広がったのです。
北京の広場ではこんな光景も…
北京支局
杉原啓佑記者

大勢の人たちが白い、何も書かれていない紙を掲げて抗議活動を行っています。
1,000人近くが集まったデモで市民が手に掲げるのは何も書いていない白い紙。政権に批判的なことを書いて当局に見つかると処罰される危険があるため、あえて何も書かずに抗議の意を示しているのです。
叫んでいる市民たちの声に耳を傾けてみると…
デモ参加者

独裁者を罷免せよ!
続投反対!
公然と習主席の辞任を求めていました。
厳しい言論統制が敷かれる中国。特に首都の北京でのこうした抗議活動は極めて異例です。
デモ参加者

独裁はいらない。民主が欲しい。
中国 感染者過去最多 経済は…
日本企業「再開のめど立たず」
ゼロコロナ対策を続ける中国政府。その背景にあるのは止まらないコロナの感染拡大です。
新規感染者は4万人近くに上り、5日連続で過去最多を更新しました。
こうした感染拡大で現地の日本企業にも影響が出始めています。
ジェトロ(日本貿易振興機構)の現地担当者は…
ジェトロ 成都事務所
森永正裕所長

重慶は日本の自動車・電気機械関係の工場が数多くあるが、大きな工場ほど生産を停止しているところが多い。
中国南西部の重慶では11月11日に一部地域で実質的なロックダウンを開始。これを受けてホンダやいすゞ自動車などは現在、工場の操業を停止しています。
さらに16日から操業停止している川崎重工は…
川崎重工
重慶工場の従業員

再開のめどは立っていない。
製品の検品などが主な仕事だったがすべてストップしている。
また、重慶だけでなく成都でも操業停止の指示が来ているといいます。
ジェトロ 成都事務所
森永正裕所長

見通しが立たない中で、ぎりぎりのところで稼働し続けなければいけないのが一番つらい点。
さらに市民の抗議活動が広がっていることを受けて、一部の日系企業では危険の高まりなどを理由に今週中の出社を取りやめにする事態も起きています。
こうした混乱はマーケットにも影響が…
中国の主要な株価指標が下落したほか、通貨「人民元」も対ドルで急落しました。
さらに今後、中国の景気が減速し、原油の需要が先細るとの見方からニューヨーク原油先物も大幅に下落しています。