中国の街である異変が起きています。
中国の習近平国家主席を礼賛する看板が増えているのです。
一体、何が起きているのか現地で取材しました。
浜海新区
中国・天津市の臨海部に設置された特別区「浜海新区」。
街を歩くと大きな看板が目に入ります。書かれているのは、
習近平同士を核心とする党中央と緊密に団結し、新しい開発・開放の高波を起こそう。
道路の脇にも、
習近平同士を核心とする党中央と緊密に団結し、中華民族の偉大な復興という夢を実現しよう。
街の至る所に習近平国家主席を大礼賛する看板。この地域でだけで実に8,000近く設置されているのです。
街の人は、
看板が多いね、いつも見るよ。約2ヶ月前からかな。
「なぜ看板が多いのか?」
第19回共産党大会のために環境を改善しようとしているのよ。
習近平国家主席
背景にあるのは5年に1度開かれる中国共産党大会です。
首脳部の顔ぶれが一新される党大会を秋に控え、地方政府が習近平国家主席に忠誠を示しているのです。
看板設置を進めた天津市のトップ、李鴻忠氏は8月8日、中国国内の新聞「人民日報」にこんな記事を寄稿しています。
習近平総書記によるイノベーションの理論。初めての事柄に対する実践力、人格まで影響を受ける指導、これは核心の核心、カギのカギ、根本の根本だ!
まさに礼賛の嵐と呼べる中、習近平国家主席はさらなる権力を握ろうとしています。
2015年に北京で実施された軍事パレードの様子。
同志諸君こんにちは。
「首長」こんにちは!「首長」こんにちは!
兵士たちが口にする首長とは部隊の指揮官を意味する言葉。
ところが今年の内モンゴル自治区では、
同志諸君こんにちは。
「主席」こんにちは!「主席」こんにちは!
軍事パレードで兵士たちが叫んだのは「主席」という尊称です。
永遠に共産党の話を聞き、党につき従い、党が示した敵をたたけ!
習主席は今回の党大会で35年ぶりに共産党の最高ポスト「党主席」を復活させるのでは、といわれています。
中国では現在の習主席の就く総書記を含め幹部による話し合いで決める集団指導体制をとっていますが、党主席には独断で物事を決める決定権があります。
これは中国建国の父、毛沢東氏も就いた共産党最高ポストでいまの国家主席よりも上とされています。
党主席の復活は独裁体制の復活とも呼べるのです。
権力を強める習主席を街の人はどう感じているのでしょうか?
街の声
近年の指導者の中では当然一番だわ。庶民にとって最も偉大なのは毛沢東氏。習主席はその歩みに追いついてきている。