ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから5ヵ月以上が過ぎました。日本や欧米各国は経済制裁を強化していますが停戦は実現していません。ロシアの経済を支えているのが中国です。中国とロシアの1月から6月までの貿易総額は前の年に比べ27.2%増加しました。国境の街を取材すると中国による経済的な支援の実態が見えてきました。
ロシア経済支える中国!経済制裁の裏で貿易活況
北京からおよそ1,000キロ、ロシアとの国境にある都市、満州里。見えてきたのは巨大なロシアの民芸品「マトリョーシカ」です。
中国の都市にも関わらず広場にはたくさんのマトリョーシカが並びます。
市街地の看板には中国語とともにロシア語が書かれています。
北京支局
佐藤真人記者
街の広場ではパンダとホッキョクグマが仲良くしている像があります。中国とロシアの友好を表していると考えられます。
いまは絶好の観光シーズン。中国でも新型コロナの移動制限が緩和されたため異国情緒を求める人にとって満州里は人気の観光地です。夜になると大勢の人で賑わいます。
商店の人
7月8月が一番旅行に良い時だよ。
今年は良くなってきた。
政府のコロナ対策は良くやっているよ。
この街のもう一つの顔が貿易都市。陸路による中露貿易の65%が通ります。国境に向かうと見えてきたのは大量の建設機械やトラック。全て中国のメーカーが生産したものです。
清掃担当者
車両は広州、山東省、市外から運んできている。
運搬用の大きなトラックに載せて、この税関を通ってロシアに輸出される。
今年1-6月、中国からロシアへのショベルカーの輸出台数は去年に比べ2倍に。20トンを超える大型トラックに至っては3倍にまで増えています。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて日本や欧米のメーカーがロシアへの輸出や現地生産を軒並み停止。代わりに中国のメーカーが大量の建設機械などをロシアに輸出しているのです。
ロシア経済を支える中国。その実態はロシアからの輸入の面でも。国境にある展望台に上ると手前が中国側、奥がロシア側です。
両国をつなぐ鉄道は黒門と呼ばれるゲートを通過します。この貨物鉄道を使って中国はロシアから資源を大量に輸入しています。
このコンテナの中身はロシア産の石炭。6月、中国によるロシア産石炭の輸入量は去年に比べ22%増加しています。ウクライナ侵攻後、中国はロシア産石炭の輸入を増やしているのです。
さらに中国が買い付けているのはロシア産の木材。
北京支局
佐藤真人記者
こちらはロシアから輸入された木材が集積されている場所です。
ここから中国全土へと出荷されていきます。
市内の木材加工業者を訪ねると出荷のために板を揃える作業や床材を作る作業が行われていました。
木材業者
ロシア産の木材の質が良いんだ。
今は製材されたものが多く来る。
ロシアからの製材の輸入額はこの半年の間に去年より10%伸びています。ロシアの製材の販売先は60%近くが中国、およそ3%の日本が輸入を禁止したとしてもほとんど影響がないのが実情です。
木材業者
国際情勢、ウクライナ情勢が今どうなっているのかあまり関心がない。
けれども中国とロシアの関係には全く問題ないだろう。