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[モーニングサテライト]「中国焦点」仕事が見つからない 打つ手はないのか

2022年7月28日

モーニングサテライト

「中国焦点」のコーナーです。

今回は「仕事が見つからない 打つ手はないのか」とうことで中国の雇用問題を取り上げます。今月発表された4-6月期の中国のGDP成長率は0.4%と低迷しました。景気の減速が鮮明となる中、雇用環境も急速に悪化しています。そうした中、特に深刻な状況となっているのが若者の失業率です。6月は19.3%と20%に迫り、過去最悪のまさに非常事態になっています。雇用をめぐる現場を取材しました。

仕事がない!卒業後も続く就職活動

中国内陸部の陜西省西安市。市内の体育館で開かれていたのは企業およそ30社が集まった就職面接会です。学生たちは真剣な表情で面接に臨みます。

学生

試用期間の給料はいくらですか?

採用担当者

基本給は6,000元(約12万円)です。

参加者たちからはいまの厳しい雇用環境を嘆く声が相次ぎます。

面接会の参加者(新卒生)

大勢が職を求めても採用が少なく就職しにくい。
ルームメイトが6人いるが1人しか就職していない。

面接会の参加者(新卒生)

今年大学を卒業したところだ。就職は確実に難しい。
自分の専攻に合った仕事はまだ見つからない。

会場で目立ったのは今年大学を卒業したばかりの若者たちです。全国の大学の卒業生の数は今年初めて1,000万人を突破しました。6月の卒業時期を過ぎても就職活動が続いているのです。就職活動の意識にもある変化が…

面接会の参加者(新卒生)

できれば国有企業に就職したい。福利厚生が良いから。
またコロナが拡大して都市封鎖されたら民間企業は儲けられずつぶれてしまう。
新しい仕事を探さなければならず失業者になってしまう。

安定を求めて国有企業や大企業に人気が集中。中小企業は求人を出しても人が集まらない状況が続いています。こうした雇用のミスマッチが若者の失業率を高止まりさせる要因の一つとなっています。

アニメ業界での就職を希望している鄒さん(22歳)。大学を卒業して1年が経ちますがまだ仕事は見つかっていません。

鄒さん

就職のチャンスが少ない。仕事の経験もないし、職が見つからない。

就職先が見つからない学生が卒業後、数年に渡って就職活動を続けているため若者たちが就職を見つけるのは一層難しくなっています。

鄒さん

心配だよ。6月以降に新卒者が出てきたことで就職の競争圧力がさらに大きくなってしまう。
もし仕事が見つからなかったら志望業種を変えるかもしれない。
でもアニメの知識は捨てたくないから働きながらでもアニメの仕事を探したい。

専門家の視点!若者雇わぬ企業 空洞化リスク

若者の採用を見送ることは企業にとって将来の成長力を損なうことにつながる懸念はないのでしょうか。中国経済が専門の神戸大学の梶谷懐教授は中国政府も問題を認識していると語ります。

大浜平太郎キャスター

若い人の採用ができていない。企業の空洞化の問題に直面する可能性は?

神戸大学
梶谷懐教授

中国政府もかなり心配している。最先端の産業に対して政策を打ち出しているが、支えていくためには中小企業レベルで高い能力を持つ企業が裾野として存在する必要がある。
支えていく高い技能を持った労働者はうまく育っていない状況。
日本の高専(高等専門学校)、そこに人材を送り込む。
中国政府は技能工を育てる教育に方向転換する方針を打ち出している。

日雇い労働の現場!若者急増 さまよう労働者

朝5時の北京。明け方の街に突然大勢の人だかりが。

北京支局
杉原啓佑記者

朝5時です。街の一画には大勢の労働者が仕事を求めて集まってきています。

仲介業者

10時間働いて日給300元(約6,000円)だよ。

交差点の真ん中で行われていたのは日雇い労働のあっせんです。仕事を仲介する業者の周りには労働者たちが我先にと群がっています。

労働者

俺だ俺だ、俺を雇え。

仲介業者

4人だ、4人欲しい。

労働者

俺たち2人じゃだめか?

仲介業者

若いやつを探しているんだ。
そろった!もう十分だ。お前たち悪いな!またあした。

仕事を見つけた労働者たちは車に乗せられ建設現場などに向かいます。

午前9時すぎ、仕事にありつけなかった労働者たちがうなだれるようにして道に座り込んでいました。

山東省から出稼ぎに来ている徐さん(51歳)。建設現場や交通整備など日によって仕事は違いますが最近ある変化を感じるといいます。

徐さん(51歳)

コロナの影響がないわけがない。街には職を探す若者が特に増えた。
仕事が見つからないと1元も稼げない。

日雇い労働の現場で若者が急増。50代の徐さんは仕事にありつけない日が増えたといいます。生活費を切り詰めながらギリギリの暮らしを送っています。

徐さん(51歳)

以前は月に7,300元(約15万円)稼げたが今は3,000元(約6万円)だ。
風呂は年に1回しか入らない。
仕事先で不要になったものや食料は持って帰るようにしている。

4畳ほどの部屋の家賃はひと月およそ7,000円。稼いだお金のほとんどを実家の妻と娘に仕送りするため自炊し、出費を抑えています。

徐さん(51歳)

田舎に戻るつもりはない。今はただ毎日働くしかない。
自分は社会の底辺だ。先のことは深く考えないようにしている。
せめてコロナが早く収束してほしい。

専門家の視点!有効な対策見つからず

個人への給付金の支給など中国政府は雇用対策で打つ手はないのでしょうか。

大浜平太郎キャスター

今回の雇用問題、即効性のある策はなかなか見つけられないのか?

神戸大学
梶谷懐教授

即効性のある改革、理屈の上では簡単で政府が公共事業を行い、若い人たちを雇えばいい。
実際に起きていることは逆。地方政府の財政資金が苦しくなっている。
財政支出、公務員の給料、採用を減らしている。
解決が難しい状況。

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