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[モーニングサテライト]「中国焦点」中国政府は個人の権利とどう向き合う

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「中国焦点」のコーナーです。

今回は中国社会における政府と個人の権利の関係について考えます。誰でも婚姻や離婚、職業の選択や表現の自由を有しているのが日本にいると常識ですが、中国で始まった離婚に待ったをかける、つまり自由に離婚ができないというある政策が波紋を呼んでいます。

離婚を減らす"離婚冷静期制度"とは

先週末の中国・北京。

街の一角には長い行列が。人々の先にあったのは婚姻登記所を書かれた役所の窓口です。

行列に並ぶカップル

婚姻届の提出に来た。
今日は縁起の良い日だから記念日として毎年祝いたくて5月20日を選んだ。

行列に並ぶカップル

きょうはとても縁起の良い日なの。5月20日だから。

この日は5月20日、数字の発音が中国で愛しているを意味する我爱你(ウォ・アイ・ニー)に似ていてカップルにとって縁起の良い日とされています。

婚姻届を提出に来たカップル

私たち結婚しました。

しかし、実意は中国での結婚件数はここ数年、減少の一途をたどっています。去年の結婚件数は763万組。ピークだった2013年と比べるとおよそ4割も減少しているのです。

そうした中、中国政府が去年導入したのがその名も「離婚冷静期制度」。

夫婦が離婚を届け出てから30日以内なら申請を撤回することができるというもので、いわば離婚クーリングオフ制度です。

その狙いについて中国政府は…

中国民政省
詹成付副部長

当事者たちはクーリングオフ期間中に冷静に物事を考えることができる。
衝動的な離婚を減らすことに役立ち、社会に良い影響を与えることができる。

婚姻届を提出に来たカップル

冷静になって考えることで衝動的な離婚を防げるかもしれない。
とても良い制度だと思う。

婚姻届を提出に来たカップル

婚姻関係は自由だ。結婚も離婚も2人が決めることだ。
国の政策が関与する以前に自分たちが考えるべきことだと思う。

減少を続ける結婚件数に対し、離婚を減らるという奇策に乗り出した中国政府。

その狙い通り、おととし373万件だった離婚件数は制度導入後の去年214万件とおよそ4割減りました。

専門家の視点!国力を高めよ

中国社会の最新動向に詳しい東京大学の阿古智子教授です。社会的弱者や政府に虐げられている人々から直接意見を聞き取るなどして中国社会の底流の動きをウォッチしています。

東京大学
阿古智子教授

離婚したら子どもを産む人が減る。家族の形態を維持して子どもをもっと産んでほしい。
国としては出生率を高めなければ経済的な発展も難しくなり高齢化も進む。
国の力を強めていくためには高齢化・少子化対策が大事になる。

制度は必要課!制約受ける個人の権利

離婚冷静期制度をめぐっては問題点を指摘する声も…

今まさに離婚クーリングオフ期間の30日そ過ごしているという陳さん。

離婚クーリングオフ期間を過ごす
陳さん(仮名)

離婚する夫婦のほとんどは既に離婚する結論に達している。
30日間は長すぎる。すごく苦しい、この待っている時間はとても苦しい。

夫が浮気をしたことで離婚を決意した陳さん、裏切った夫となかなか離婚できずつらい日々を送っているといいます。

SNS上にはクーリングオフ期間の日数をカウントする投稿を繰り返し、30日が経過するのを待っています。

しかし…

離婚クーリングオフ期間を過ごす
陳さん(仮名)

実際は一方が離婚したくなかった場合には離婚が成り立たなくなっている。

この制度は30日の期間中に夫婦のいずれかが離婚したくないとして申請を取り消した場合、一方的にキャンセルできてしまうのです。離婚するにはまた一から役所に出向き申請し直した上で30日間を過ごす必要があるのです。

陳さんは今のところ順調に日数を消化していますが夫がいつキャンセルを申し出るか分からない状態です。

さらに厳しい現実を指摘するのが人権相談窓口を運営する冯媛さんです。

女性人権相談窓口を運営する
冯媛さん

女性がDVの恐怖から逃れる自由と権利を侵害している。
この離婚クーリングオフ制度はよくない。

こちらはある女性からの相談内容です。

彼はよく暴力を振るってくる。精神的な暴力、言葉の暴力、死ぬほどつらい。離婚したい。

夫から繰り返される暴力で腕にあざができたといいます。

クーリングオフ制度のもと夫からなかなか離れられない状態が続いていました。

私はこれからどうすればよいのか?

こうした相談が相次ぐ中、冯媛さんたちはDV(家庭内暴力)による被害者を一時避難させるなど支援活動を続けているといいます。

女性人権相談窓口を運営する
冯媛さん

共に過ごすのが耐えられないという人にあと1ヵ月も一緒に過ごさせるのは拷問だ。
この制度は取り消されるべきだ。

制度をめぐっては賛否両論あるようです。

現在の中国政府による個人の権利に対する向き合い方を阿古さんはこう表現します。

東京大学
阿古智子教授

公権力の巨大化。
歴代の政権の中でも特に個人の権利を尊重しない政権。
「集団、社会全体、国家の利益を考えなさい」、かなり強力に打ち出されている。
個人の感情・考え方を抑えつけないことには国をまとめていけない。
自分の3期目に向けて権力基盤を固められない。
少なくとも今年は個人に対しての圧力はまだまだ強くなっていく

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