中国語が書かれたパッケージに入っているのは一口サイズの肉まんです。実はこの肉まん、日本ではあまり馴染みのない本場中国の味付けが売りとなっているガチ中華と呼ばれる料理のひとつで、今こうしたガチ中華を提供する料理店が都内で急速に増えています。市場が拡大しているガチ中華の企業戦略を取材しました。
なぜ?"ガチ中華"が急拡大!
中国式宣伝手法に勝機あり
角谷暁子キャスター

原宿・表参道からほど近い通りに中国語だけの看板があります。
一口サイズの肉まんですね。
今週、原宿エリアにオープンする肉まんの専門店「包馔夜包子(パオセン イェーパオズ)」。その特徴は…
中華料理店を運営するグローバルエステート
金城健一副社長

そのまま"ガチ中華"の味を日本に持ってきた。
中国で300店舗を展開し、1日に最大60万個を売り上げた人気チェーンが日本に初上陸しました。
看板メニューのひとつ「麻辣パオズ」、中国の店と全く同じ味で提供されます。
角谷暁子キャスター

山椒のピリッとしびれる感じがガツッときました。
香りが日本の食べ物ではあまり感じられない中国の香りがします。
従来の中華料理店では日本人の好みに合わせて味をアレンジするのが一般的ですが、最近はこうした中国の味をそのまま持ち込む、いわゆる"ガチ中華"戦略が新たな市場を生み出しています。
2年前から日本で展開している火鍋店「譚鴨血老火鍋」もガチ中華店のひとつ。先程の肉まん店と同じ企業が運営しています。
火鍋の具材として提供されるのは鴨の血をプリン状に固めたものなど日本ではほとんど馴染みのない料理ばかりです。
そしてこの店、やって来るお客さんにも特徴が…

やっぱり田舎の味。
中国の味で中国出身で中国の料理が大好き。

雰囲気も中国での雰囲気で本当にびっくりした。
お客さんの8割が日本で暮らす在日中国人なんです。
どうやってこの店を知ったのか聞いてみると…

ウィーチャットの動画を見た。
店が在日中国人向けに配信している宣伝動画。これが日本に70万人いるとされる在日中国人のコミュニティ内で拡散されお客さんを呼び込んでいるのです。
実はこの宣伝方法、中国国内の飲食店では一般的な手法だといいます。ガチ中華は料理だけでなく宣伝手法も中国式を取り入れているのです。
角谷暁子キャスター
中国のそのままの味を持ってくるほうが勝てるか?

中華料理店を運営するグローバルエステート
金城健一副社長

絶対勝ちます。
肉まん店を将来的には200店舗展開したい。
コロナ禍で日本人客も増加
しかし、今なぜガチ中華店が急拡大しているのでしょうか。
ガチ中華店が密集するエリアのひとつ池袋。繁華街には中国語で書かれた飲食店の看板が多く目に付きます。
地元の不動産業者に聞いてみると…
池袋の不動産会社 京王ユナイテッド
玉木之副社長

コロナの影響でテナントが退去する場面が続々出てきている。
賃料が下がり中華料理店が入りやすくなった。
その池袋でおよそ2年半前から営業している火鍋店「熊猫火鍋(パンダホットヒナベ)」。今月、上野に2号店をオープンさせました。
熊猫火鍋
金文龍店長

コロナで飲食店は大打撃を受けたが、そこがチャンスだと思っている。
普段は空いてないような店舗も空いていい物件を探しやすい。
この店の中には店名にちなんでいたるところにパンダの装飾が…
名物の火鍋にもラー油でできたパンダ。スープに溶かすことで辛さの調節ができます。
この店もオープン当初はお客さんの9割が在日中国人でしたが、ここにきて客層に変化が出ているといいます。
熊猫火鍋
金文龍店長

だいぶ日本人客も増えて、いまは4:6の割合。40%が日本人客。
日本人のお客さんに話を聞くと…
日本人客

サイドメニューも中国風で"ガチ中華"みたいな味。
血の塊とかほかの店では食べられない。
日本人客

中国に住んでいたことがあるが、店に入ったときのあいさつが中国語で「いらっしゃいませ」というのを聞いて中国に帰ってきたという気持ちになった。
コロナ禍で海外旅行に行けない中、中国本場の味や雰囲気を求める日本人にも人気が高まっているのです。
熊猫火鍋
金文龍店長

日本人は辛さに強い人が少ない印象で、来店するのかと最初は思ったが大変喜んでもらっている。今後はもっと日本人客をターゲットにしたい。