フランスやオランダなどEUから輸入されたチーズ。
オランダのチーズは1つ、6,000円近くします。
日本とEUのEPA(経済連携協定)が10月24日に招集される臨時国会で承認を経て2019年にも発効する予定ですが、このチーズの輸入関税も段階的に引き下げられカカウが安くなっていくといわれています。
その事を国内のチーズ生産者はどのように受け止めているのでしょうか?
現場を取材しました。
株式会社久田
[blogcard url="http://www.cheese-oukoku.co.jp/"]
松屋銀座にあるチーズ専門店「チーズ王国銀座店」。
年間およそ250種類のチーズを取り扱っていますが、そのほとんどがフランスやイタリア、オランダなどヨーロッパから輸入しています。
輸入量は年々増えていて、その人気は高いといいます。
お客様は、
複雑な味、しっかりした味がするのがいい。
輸入チーズには現在、輸入価格に対して29.8~40%の関税が課せられています。
日本とEUのEPA(経済連携協定)が発効するとヨーロッパ産のチーズは税率が徐々に引き下げられます。
チーズ王国を運営する久田の営業本部、宮田さつき部長は、
1年ごとに1~2%ずつ減税されることせ私たちもお客様も期待感は持っている。
EUのチーズが安く手に入ることを日本のチーズ業界はどう考えているのか?
Japan Cheese Award
[blogcard url="http://www.japancheeseaward.com/"]
10月21日に行われたジャパンチーズアワード2018。
北海道から沖縄までおよそ80のチーズ工房が集まりました。
外国のチーズはくせが強いので穏やかにしている。
結構塩気ありますね。
日本酒に合わせてもらうとおもしろい。
白カビを使ったチーズや青カビを使ったもの、オイルに漬けたチーズなどおよそ230種類のチーズがグランプリを争いました。
おいしい。
会場にイタリアンレストランの料理人の姿も。
EPAの影響について聞いてみると…
サルーチェイタリアンレストランの饒村麻斗シェフ、
個人的には日本のチーズを使いたい。
金額というより味と生産者のこだわりを重視。
一方、生産者はどう見ているのか?
水牛の特徴ある原料を使って差別化した作り方にこだわっていきたいがそれでもEUに太刀打ちできるか先行きは不安。
と不安を口にする半面、
気にするよりも自分のチーズをいかにおいしくするか。
いかに外国産のシェアを奪うか、そこに注力する。
安いチーズが入ってくるともっとチーズを食べる文化が広がる。
逆にチャンス。
と、チーズ文化の広がりに期待を寄せる生産者も。
チーズ店を営み、今回のイベントの審査員になった日本チーズと日本ワインのお店「Bar湘南ファーム」の柴本幹也さんは、
品質的にはヨーロッパのチーズが入ってきても日本のチーズという分類で対抗できる力はある。
株式会社チーズ工房那須の森
[blogcard url="http://nasunomori.jp/"]
栃木県那須塩原市。
ここにジャパンチーズアワードで部門賞を獲得したチーズ工房があります。
チーズ工房那須の森の落合一彦代表取締役は、
製造室で他の種類のチーズもすべてやっている。
今日作っていたのはチーズの表面を塩水や酒で洗いながら熟成させるウォッシュタイプと呼ばれるもの。
食べ頃になるまで熟成庫で1ヵ月寝かせているといいます。
「那須ブラウン」は納豆菌の仲間であるリネンス菌が生み出すくせのある香りと独特の旨みが人気です
一方、工房内の別の部屋ではジャパンチーズアワードで部門賞を受賞したチーズ「森のチーズ」が熟成中でした。
4~5ヵ月熟成させてからカットして出荷。
繊細さと経験、チーズの状態を判断してどういう管理がいるのか判断。
手間暇ですね。
この工房で1日に作るチーズの量は20~30キロ程度。
大手や中堅チーズメーカーが使うような大型の機械は導入しておらず、ほとんどが従業員による手作業です。
こうした人件費や原料によるコストが海外に比べて割高なことがチーズを量産できない小規模な工房には痛手です。
安くできる限界があるから生き残っていけるか不安はある。
そんな中での輸入チーズの税率引き下げ。
最善の対抗策は日本人向けを意識したチーズ作りだといいます。
日本のお客様が本当においしいと思うチーズを作れる自信はある。
お客様と毎日対面してお客様の感想を聞きながら作ることができて少しずつ変えていくことができる。それがメリット。