4月17日、日本時間19時頃、イギリスの議会で開かれたある委員会。
証言している女性はフェイスブックの個人情報流出問題に揺れるデータ分析会社、ケンブリッジ・アナリティカの元幹部です。
フェイスブックでは気になった記事に「いいね!」を押すと、友人などと情報をシェアすることができます。
実は何気なく押した「いいね!」から正確や好み、さらには知能指数までも特定できてしまうといいます。
Cambridge Analytica
[blogcard url="https://cambridgeanalytica.org/"]
元ケンブリッジ・アナリティカのカイザー氏、
削除したはずのフェイスブックのデータを使い、仕事をしていると聞いておかしいと思った。
フェイスブックから不正に取得した個人情報を削除せずに使い続けていたと証言したカイザー氏。
ケンブリッジ・アナリティカはフェイスブックを利用してEU離脱を問うイギリスの国民投票で離脱派が勝利するように情報を発信し続けた疑いが持たれています。
いいね!
「いいね!」このたった3文字に膨大な量の個人情報が詰め込まれています。
どれほどの情報が入っているのか分析した論文があります。
例えば1人の人間が押した700の「いいね!」をコンピューターに学習させた結果、その人物の性別を93%の確率で予測できたといいます。
また日常的に酒を飲むか、両親が離婚しているか、など詳細な個人情報も60%以上の確率で当てることができるといいます。
「いいね!」から分かることはこれだけにとどまりません。
例えば100メートル走の世界記録保持者ウサイン・ボルトに「いいね!」をつけていると独身の可能性が高い。
ホンダに「いいね!」をつけていれば喫煙者の可能性は低く、逆にアンダーアーマーに「いいね!」を押しているとタバコを好むという結果になっています。
さらには俳優のモーガン・フリーマンの声が好きなら知能指数が高いなど、コンピューターはもはや人には理解できない関係も見つけ出しています。
こうしたコンピューターの分析が人と比べてどれほど正確かという調査もあります。
例えばAさんが10の「いいね!」を押していれば、職場の同僚よりコンピューターの方がAさんの好みや性格を正しく言い当てられる。
さらに150の「いいね!」があれば家族よりも多くの情報を知っているという結果になりました。
この論文に目を付けた心理学者が性格診断アプリを開発。心理学者は調査目的としてフェイスブックから個人情報を得ていましたが、ケンブリッジ・アナリティカにこの情報を横流しした疑いが持たれています。
2016年、ケンブリッジ・アナリティカの当時のトップ、アレクサンダー・ニックスCEOがニューヨークで公演した際の映像では、
私たちは何十万人ものアメリカ人を調査した。成人ひとりひとりの性格を予測できるモデルをつくり上げている。
この数カ月後、アメリカ大統領選でケンブリッジ・アナリティカはフェイスブックのデータから個人の年齢や性格、生活習慣などを分析し、トランプ氏が有利になるように働きかけた疑いが持たれています。
野口悠紀雄顧問
「選挙戦でもその人の心に一番訴えるものを送る?」
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センターの野口悠紀雄顧問は、
「失業している」「政府に不満を持っている」、その人には過激なメッセージを送るとか、知能指数が高い人であればもっと合理的に「このままの政策では成長率がこうなる」とか。
アメリカの大統領選がひょっとしたらねじ曲げられたのではないかという恐れがある。