大浜見聞録です。今回は日本市場に参入する中国のEV(電気自動車)についてです。このコーナーで今年の5月に韓国の自動車メーカー「ヒュンデ」のEVを取り上げましたが、今回は中国のEVメーカー「BYD」を取り上げます。日本で来年1月にEVを発売する予定になっていますが、日本のマーケットに果たしてどれくらいのインパクトを与える車なのか実際に試乗してまいりました。
中国EVの実力は?
SUV試乗リポート
BYDジャパン
劉学亮社長

電気自動車を「買うか、買わないか」の時代ではない!
電気自動車を「いつ買うか」ということ!!
2023年1月から日本の乗用車市場に参入すると宣言した中国の電気自動車メーカー「BYD」。
8月に横浜で来年発売するEV3車種の展示会を開きました。
車のデザインはアウディやメルセデス・ベンツを手がけたデザイナーが担当しています。
大浜平太郎キャスター
中国車のイメージは?

イベント来場者

イメージはない。あんまり考えたことがない。
イベント来場者

アジアの車に抵抗はない。フェアを吟味したい。
反応はまちまちですが大浜さんは車のドアに興味があるようです。
大浜平太郎キャスター

ドアはそんなに重たくないですね。
バンッという乱暴は音はしないです。高級車ほどではないですが柔らかい音です。
車内のデザインは変わっています。気になるのはスピーカーですが飛び出す形でドアに付いています。
最新の運転支援機能を搭載しています。
12.8インチの大型モニターは少し変わった機能を備えています。
大浜平太郎キャスター

モニターが横型から縦型に回転するようなっている。
試乗したのは来年1月に発売される予定のSUVタイプ「ATTO3」。
大浜平太郎キャスター

中国車の勝手なイメージですがガタガタとかビリビリという感じがあるんじゃないかと思っていました。それはないです。
乗り心地でいうと高級車の方に近いかもしれませんね。
日本での販売価格はまだ決まっていません。
1回の充電で走れる航続距離は485kmで同じクラスの日本のECより上回るとしています。
BYDの車の大きな特徴は自社で手がける部品の多さ。ヘッドライトやスピーカーまで自社製です。半導体も自前で作っているため半導体不足の影響をほとんど受けていないといいます。
バッテリーももちろん独自で開発。自動車業界で注目されている最新のバッテリー「ブレードバッテリー」は薄くて平たい形が特徴です。効率よく搭載できてバッテリーの温度管理も容易になったといいます。
日本の金型技術を活用
BYDは1995年に電池メーカーとして創業し、2003年に自動車事業に参入しました。
2010年に金型大手「オギハラ」の一部の工場を買収。買収後は「TMC(タテバヤシモールディング)」と社名を変更し、日本のものづくり、職人の技を継承しています。
BYDは主要なボディパネルの金型を群馬県にある工場で生産しています。
この日は新車の開発に向けて中国のBYD本社とオンライン会議の真っ最中でした。
TMC
髙草木健一社長

最初に金型デザインのデータを送ってもらい、われわれがアドバイスしたり、品質的な不具合を解決しようとしている。
平太郎のへぇ~ポイント!スピードと手間の両立
ここで「へぇ~」ポイント「スピードと手間の両立」。
BYDには今までのクルマづくりの常識とは違うこだわりがあるといいます。
TMC
髙草木健一社長

BYDから金型を「6ヵ月で造れ」という指示がある。
会議を重ねていき金型は一発で良いものを造る。
次から次へと新たしい金型の注文を受けるため既存の設備では間に合わず新工場を建設中です。
もうひとつのこだわり、手間については見てわかるものがあるといいます。
大浜平太郎キャスター
BYDのこだわりは?

TMC
髙草木健一社長

キャラクターライン。1本・2本・3本・4本と入っている。
凸凹が非常に多い。
コストと手間がかかりますがBYDではデザイン性を高めようとあえて複雑なラインや凹凸を取り入れています。
これまで世界中の自動車メーカーの金型を手がけてきた髙草木社長にとってもやりがいは大きいといいます。
TMC
髙草木健一社長

日本でこれが走るということはやはり非常にうれしい。
果たして独自のこだわりを持つBYDのEVは日本の市場に通用するのでしょうか。
そのヒントがバス事業にあります。BYDは7年前からEVバスを日本で販売しています。累計の販売台数は65台ほどですがBYDによると国内で走るECバスの7割を占めています。
こちらのバス会社「共同バス」ではEVバスを2台導入。今年度中にもう1台導入する予定です。
共同バス
鈴木貴大社長

これといった大きな故障はない。ライトのスイッチに水が入り点灯しなくなった。
「これ使ってください」と防水加工された対策品がすぐに来た。
われわれの常識では「とりあえずの代替品」が送られてくるものだが対策品が来た。
日本メーカーとは違うスピーディーな対応にBYDへの信頼も高まったといいます。
バスから乗用車へ、日本で地固めを狙うBYDですが気になるのは日中関係の悪化です。
日本販売の責任者、BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長に聞きました。
大浜平太郎キャスター
日中関係悪化の影響は?

BYDオートジャパン
東福寺厚樹社長

台湾の問題で中国に対する警戒感はものすごく強くなっているのは当然だ。
日中相互に優れた技術・商品を適正価格でやりとりするのは正しい商取引だ。
リスクは念頭に置きながらもBYDは日本で事業を始めたばかりの会社ではない。
日本のなかでしっかりと一歩一歩を歩んできた。
ずっと地道な努力になると思うが続けていきたい。
BYDは今後3年をかけて日本全国に100の販売店を展開する計画です。