今年のカー・オブ・ザ・イヤーに日産と三菱のEVが軽自動車として市場初めて選ばれるなどEV普及に向けた動きが加速しています。
そして、中国のEV専業メーカー「BYD」による1月発売予定の新車価格の発表もありました。国内に100ヵ所設ける正規ディーラーで販売を行う予定のBYDの戦略を追跡取材しました。
中国・EVは売れる?舞台ウラ
中垣正太郎キャスター
埼玉県熊谷市に来ています。
こちらでBYDの車を販売する準備が進められているということですが…

S&RT
望月英男代表

ATTO3という車。
輸入車やタイヤの販売を手掛けるこちらのお店。群馬県とここの2ヵ所でBYDの販売店をオープンする準備を進めています。
いち早く販売店になることに名乗りを上げたのはBYDが主催する試乗会に参加したのがきっかけだったといいます。
中垣正太郎キャスター
試乗会での体験でイメージは変わった?

S&RT
望月英男代表

一番変わったのはクオリティーの高さ。これはいけると思った。
実際に中垣キャスターも試乗してみました。
中垣正太郎キャスター
発進してみます。
スムーズ、これは正直あらかじめ、どこの車と言われないと中国製のEV車と気付かないと思います。

2月に中国で販売し、オーストラリアなどでも販売しているATTO3。ドライバーから見にくい死角をサポートする運転支援システムも標準で搭載しています。
他社の同じSUVタイプが500万円台なのに対してBYDは440万円とかなり割安です。国のEV購入の補助金が来年度も続けば350万円ほどで買えることになります。
さらにドアの作りにもきめ細かな工夫が…
S&RT
望月英男代表

雨や雪の中走行した後に乗り降りする際に服が汚れる。
BYDの場合、ドアが下まで回り込んでいて汚れない。
ドアが車の下までカバーしているのです。
中垣正太郎キャスター
中国車に対しての不安は?

S&RT
望月英男代表

これは人それぞれだと思う。ただ若い人は気にしていないと思う。
実はBYDの販売店に名乗りを上げる企業は増えて、カー用品大手のオートバックスセブンも参入。1月下旬から22店舗が随時オープン予定です。
日本のBYD販売会社のトップは…
BYDオートジャパン
東福寺厚樹社長

先週末の価格発表直後のイベントで「440万円って本当なの?」など、すぐにでも買って乗って走り出したいという問い合わせをたくさんいただいた。
いいスタートが切れている。
BYDとはどのような企業なのでしょうか?
1995年、中国・深圳でバッテリーメーカーとして設立され、2003年にEVに参入しました。
ATTO3には独自開発した細いブレード状のバッテリーを搭載。EVの最重要部品を自社で生産することでコストダウンを実現しました。
長年、国内外のさまざまな車を評論してきた専門家は…
自動車評論家
国沢光宏さん

世界的にみると中国に対する偏向した考えがなければ割安感がある。
ただ、新しく信頼性のない中国ブランドの車に300万台の金を出すかというとほとんどの人は出さないと思う。
弱点と指摘されたのは日本人の中国車に対するイメージ。
ただ、追跡取材で見えてきたのはこの中国車に関わってきた日本企業の意外な姿でした。
中国・EV支える日本の技術
中国のEV専業メーカー「BYD」が1月に発売する電気自動車「ATTO3」。実は日本企業の高い技術が詰め込まれています。
自動車のドアやボディなどを製造するための金型メーカー「タテバヤシ モールディング」です。
こちらの機械は1,500トンもの力でプレス。その金型を100分の数ミリという精度で仕上げる高い技術力が売りです。
BYDのグループ企業の一つで「ATTO3」の金型もここで製造されたものです。
実はこのメーカー、もともとは世界有数の金型メーカー「オギハラ」の工場でした。しかし、業績の悪化に伴い2010年にBYDに買収されたのです。
買収当時を知る技術者は…
入社28年
タテバヤシ モールディング
須永光宏さん

本当にどうなるのかなという気持ちはその当時はあった。
世界でトップレベルの会社になってきたので今はすごく誇りを持っている。
社長の髙草木さんも自分たちの技術が生かされたBYDの車が日本で走るのを心待ちにしています。
タテバヤシ モールディング
髙草木健一社長

私たちが毎日苦労してきた車が日本で走るのを本当に楽しみにしている。